インタビュー

露木達也 『agora』

湘南出身のギタリストが奏でる海風のようなラテン・ミュージック

露木達也 『agora』

 露木達也は高校入学とほぼ同時にエレクトリック・ギターを手にして、バンド活動を始めた。そのバンドではLUNA SEAの曲も演奏していたそうだが、ファースト・ソロ・アルバム『agora』に収録されているのは、トム・ジョビンの曲やジョアン・ジルベルトも録音しているイタリアの曲《Estate》など、主にブラジル音楽やラテン、ジャズ系の曲。インストに加えて、ガット・ギターを爪弾きながらポルトガル語と日本語で歌っている曲もある。

露木達也 agora Respiracao Records(2014)

 「高校時代から将来はプロのギタリストになると決めていたので、高校に通いながら音楽の専門学校でギターを学びました。そこで出会った米国帰りのギターの先生を通じてパット・メセニーを知り、『レター・フロム・ホーム』をきっかけにブラジル音楽を聴くようになりました。ブラジル音楽に惹かれた最大の理由は、リズムです。西洋音楽の理論では割り切れないサンバショーロのリズムに魅力を感じ、それ以来、自分の興味がフュージョン的なものから離れ、どんどんブラジル音楽やラテンの方向に向かっていきました」

 『agora』の7曲目は、《Quando Te Vi》。ビートルズでも知られる《Till There Was You》のポルトガル語によるカヴァーだ。ブラジル音楽ファンには、ペト・ケヂスのヴァージョンが比較的よく知られているはずだが、露木はセルソ・フォンセカのヴァージョンを参考に歌っている。

 「実は最近カヴァコ(カヴァキーニョ)を手に入れたんですけど、これに合う曲はないかなと考えたら、《Quando Te Vi》が頭に浮かんだ。メロディが可愛らしいので、カヴァコに合うんじゃないか、と。僕はポール・マッカートニーが好きなんですけど、ポールのようにはとても歌えない。でも、カヴァコの弾き語りなら、自分らしさが出せるだろうと思いました」

 さらに注目すべきは、キケ・シネシの《Seras Verdad》を取り上げていること。露木は、日本に住んでいたアルゼンチン人ギタリスト、アリエル・アッセルボーンからギターを習っていたという。

 「学校ではエレクトリック・ギターしか教わらなかったので、南米の音楽をやるためにはガット・ギターを弾けるようにならなければと思い、3年間ほど習いました。アリエル先生と出会う以前の僕は、フォルクローレを全く聞いたことがなかった。でも彼は、フォルクローレの曲やギターの奏法だけでなく、この音楽はパンパ(アルゼンチン中部に広がる草原地帯)と強く結びついているといった音楽的背景も教えてくれた。だから僕としては、この曲の背景を理解し、なおかつ自分なりの解釈を加えた上で演奏しているつもりです」

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