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トーレ・ヨハンソンの魔法がかけられた金字塔『Life』

それから約1年後、カーディガンズは更に自分達のスタイルを突き詰めた金字塔アルバム『Life』をリリースします。1stアルバムで既に大きな衝撃を受けていた僕ですら「ワーーーオゥ!」と絶叫してしまう程ジャケットも内容も完璧で、「これぞスウェディッシュポップ!」みたいな物凄い衝撃を受けたので、ここで初めて彼らを知った多くのリスナーの方々の衝撃は絶大なものがあったと思います。

やはり象徴的だったのはアルバムのトップを飾り第1弾シングルとしてリリースされた“Carnival”のとんでもない破壊力! メランコリックなメロディーと美しいストリングスのアレンジ。ニーナの可憐な歌声。そしてディスコビート。レジェンドなABBAを産んだスウェーデン。やはりディスコのリズムというのは肝だったと思います。

次作の“Lovefool”然り、“Carnival”は各FM局のヘヴィーローテーションを総なめにしたのではないかというくらい、当時ラジオをつければこの曲が流れていたという印象です。そのくらいメディアの期待度も高かったと思うし、実際アルバムも前作を更に上回るキャッチーさとメジャー感を持っていました。

とは言え単なる聴き心地のよいギターポップアルバムではないところが凄いんです! ジャジーな曲や70年代のシンガーソングライター系を彷彿させる曲、変拍子や組曲風の曲等々、一見マニアックで一筋縄ではいかないくらい攻めた楽曲が並んでいるのですが、それを見事なまでに聴き易く、芳醇で刺激的なアルバムに仕上げているのはプロデューサーであるトーレのアレンジやミックスの手腕が大きいんじゃないかと僕は思っています。俗に言う「トーレ・マジック!」です。

尚且つボーカリストのニーナのコケティッシュでいて存在感のある歌の強さも絶大です。

更に言うと当時彼らがレコーディングをしていたタンバリン・スタジオは16チャンネルのアナログのコンソール(録音機)を使っていて、60年代の音像を再現するようなヴィンテージなサウンドが大きな魅力でした。当時のレニー・クラヴィッツや彼がプロデュースしたヴァネッサ・パラディのアルバムがそうだったように。

 

渋谷系全盛期、日本人のツボを突きまくった曲とデザイン

それにしてもこの『Life』は「日本人の好みを知って作っているんじゃないの?」というくらい、当時の僕らのツボを突きまくる楽曲のオンパレードでした! それはジャケットのデザインにも如実に表れていて、当時僕らが抱いていた〈スウェーデン/北欧=お洒落〉なイメージが120%、いや200%表現されており、そのキュートさにも誰もが衝撃を受けたと思います。それこそ完全に渋谷系的なアプローチ! 「これは信藤(三雄)さんがデザインしたの?」と思ったくらい完璧なものでした。

1995年3月と言えば第1次渋谷系の絶頂期で、Original Loveや小沢健二さんが50万枚を超える大ヒットシングルやアルバムをリリースしお茶の間に進出した後だったので、カーディガンズの『Life』もある意味、渋谷系の追い風に乗ったところもあったのでは?と僕は考えています。

実際に彼らと渋谷系の親和性は強く、正に『Life』がリリースされた直後にニーナとピーターとマグナスの3名がプロモーションで日本に初来日した際、「コーネリアスとカヒミ・カリィとブリッジに会いたい」とレコード会社の方にリクエストしたそうで、六本木周辺の料亭で会食をした事がありました。60s風のカラフルなミニのワンピースにショートヘアを横分けになでつけたニーナはまるでツイッギーのようでしたし、ピーターとマグナスも60s風の3ボタンの細身のスーツにネクタイをして完全にモッズスタイル。60年代のファッションマガジンから飛び出して来たような可愛くて初々しい3人に心ときめいた事を昨日の事のように思い出します。

実際に彼らやトーレは『Life』を制作するにあたり渋谷系からの影響も少なからず受けていたのです。