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ジャズ入門を手助けする編集盤

ジャズのコンピレーションは、廉価版のようなものも含めればキリがないですが、シリーズの展開数ではヴァーヴの『Jazz Club』シリーズ(1989~1991年)が有名ではないでしょうか。アーティストもしくは〈スピリチュアル〉〈ラテン〉〈ボーカル〉といったテーマごとに編まれた入門用コンピとして展開多数。新書のようなシンプルなデザインが特徴ですが、一時期ヴィレッジヴァンガードの棚にもズラリと並んでおりました。それと個人的にはブルーノートのレーベルサンプラーである『No Room For Squares』シリーズ(1993~1997年)は、ジャズを聴き始めた頃の入口としてよく聴いていましたね。

〈selected by ◯◯〉と冠される、眠れるカタログから〈あの人〉が選んだベストチョイス、というキュレーション系コンピも、掘り出し物があります。ユニークな所では、ビートたけしが選曲するジャズコンピ『たけしとジャズ』(2011年)、『たけしとブルーノート』(2013年)。無名時代のたけしがジャズ喫茶でバイトしていたというのは有名ですが、客=スノッブなお坊ちゃま達にナメられないために、ジャズマンやレコードの知識を頭に叩き込んで働いていたそうです。

ほかに『ジャズ・レコード100周年記念コンピレイション(ジャズマンが選ぶ25曲 選盤/選曲・菊地成孔)』は、谷王こと大谷能生との対談による解説がマッシブです。個人的に思い出深い1枚なのは、大学のジャズ研時代からの縁である東京スカパラダイスオーケストラの管楽器隊の3人(北原雅彦、GAMO、NARGO)による、戦前の日本人ジャズをコンパイルした『Big Bang Blow selected by NARGO, M. Kitahara & GAMO』(2003年)。今でもたまに棚から引っ張り出して聴きます。

VARIOUS ARTISTS 『ジャズ・レコード100周年記念コンピレイション(ジャズマンが選ぶ25曲 選盤/選曲・菊地成孔)』 ユニバーサル(2017)

 

小西康陽から小泉純一郎まで著名人キュレーション盤

キュレーション系コンピといえば小西康陽。徳間ジャパンの3部作『夜のミノルフォン・アワー』『徳間ダンス・パーティー』『お座敷ジャパン』(2015年)、日本コロムビアの名曲を集めた『GOOD NIGHT TOKYO』『MIDNIGHT TOKYO』(2000年)、クラブでかけたいJ-POPというチョイスの『エース』(2017年)、PIZZICATO FIVEを含む渋谷系大回顧『bossa nova 1991: shibuya scene retrospective』(2007年)ほか、まだまだありますね(渋谷系と言えば、オシャレなアニソンを集めた2007年の『AKSB ~これがアキシブ系だ!~』なんていうものもありましたが、エポックな1枚だったと思います)。

変わった所で、日本人ミュージシャンが選曲したフランク・ザッパのベスト盤『◯◯ meets フランク・ザッパ』シリーズ(1999年)。選者がPANTA(頭脳警察)、SUGIZO(LUNA SEA)、山本精一という、ザッパらしいと言っていいのかどうかわからない渋めのメンツ。ボブ・ディランを敬愛するみうらじゅんによるベスト『DYLANがROCK』(2010年)なんていうのもありますね。

キュレーション系の極北として、当時の内閣総理大臣・小泉純一郎が選曲したエルヴィス・プレスリーのベスト『私の好きなエルヴィス~小泉純一郎選曲 エルヴィス・チャリティ・アルバム』(2001年)も挙げておきましょう。音楽に政治を持ち込むなとか、ロックは反体制か否かとか、そういう話が一気にどうでもよくなりますね。現首相・高市早苗が選曲した『私の好きなアイアン・メイデン』にも期待したいものです。