moreru、明日の叙景、kokeshi……メタル周辺の次を担うバンド
――清家さんがいま注目しているインディバンドはいますか?
清家「メタルど真ん中じゃないんですが、moreru周辺がおもしろいと思います。ラッパーもノイズの人もハードコアをやっている人もいて、ジャンルにこだわらず何組も集めてパーティーをする、みたいな。コロナ禍の直前にラップのパーティーに行ったら、若い子たちばかりの現場でモッシュがめちゃめちゃ起こっていて、〈ここにはメタルが失ってしまったものがあるかも〉と思ったんですね。moreruの界隈にはそれに近いものを感じます。
あと明日の叙景のライブ会場は、普段邦ロックの現場にいそうな男性や女性もいますね。BUMP OF CHICKENが好きでメタルを聴かない友だちを連れていったら、〈よかった〉と言っていました」
――moreruも明日の叙景もメロディがJ-POP的ですよね。アニソン、ボカロが影響源や前提になっているアーティストが多いとも感じます。
清家「kokeshiというバンドは女性ボーカルなんですけど、亡無-Nana-さんは歌がめちゃめちゃうまいんです。女性がデスボイスを出すと違和感がありますが、彼女にはそれがなくて。ワンマンライブに行ったら、ラウドロック系アイドルのファンらしきお客さんも来ていました」
――kokeshiはJホラー的な和の要素もおもしろいですね。
清家「ほかにUnlucky Morpheusやthe Art of Mankindなど、同人音楽出身で『BURRN!』に載るようなメタルバンドに成長していく例もおもしろいですね。
今年の新譜ではmizuirono_inuの『SONATINE』がよかったです。ごちゃ混ぜな音楽で、メタル要素あり、ヒップホップあり、合唱もあり、といった感じで。過剰で大げさなんですけど、そういうカオスな音楽が好きですね」
書き手の考えが入っていない文章は読む価値がない
――最後は、過去のメタルファンダムと若いファンとを繋ぐものについて考えられればと思います。
西山「昔からメタラーの連帯感みたいなものは好きだけど、好きじゃない部分もけっこうあるんです。いまの若い人たちは健全になっている気はしますが、よくわからないんですね。以前は『BURRN!』がコミュニティをまとめていたところがありましたが、若者たちはどこかにまとまっているのか、そうじゃないのか、どんな感じなのかなって」
清家「大学時代のメタルサークルには、まだホモソーシャルな感じが残っていました。でもいまのメタルファンは散らばっているので、傾向は一概に言えないですね。ネットにはV系とメタルの両方が好き、みたいな人がけっこういます。DIR EN GREYからアングラなメタルに入った人とか。ブラックメタルの現場はV系に近くて、女性ファンがついていることが多いですね。スラッシュの現場が、いちばん男性比率が高いかもしれません」
――清家さんは〈現代メタル通信〉というYouTube番組に出演していますが、近年、ポッドキャストなど音楽を語る場所はテキスト以外にも広がっていますね。
清家「ちゃんとした台本を作って、コンパクトにやったほうがいいんだろうか?とか、悩みつつやっています。語るのは難しいですね。聴いていて楽しい語りにしにくいんです」
――しゃべる技術と書く技術はまったくちがいますからね。
西山「女性の音楽ファンって自分のなかの感動を大切にして、それを表明して理解してもらおうっていうより、自分の心の充実を大事にしている人が多い気がします。書き手が少ないのは、そういうのも関係あるんじゃないかなって思いますね」
清家「でも、音楽についての自分語りの是非は定期的に議論になりますね」
西山「清家さんの文章は、ビジュアライズする言葉を必ず入れていますよね。そういうことはほかの書き手はあまりしないですし、ああいう文章は読んでこなかったなと思いました。メタルについての文章は暴力的な言葉を並べたものが多いので、『現代メタルガイドブック』を読んだときにフレッシュだなと感じました」
清家「自分は音楽理論的な知識も音感もないので、『BURRN!』で急にメタルについて書くことになり、目をつぶって音楽を聴いて想像して浮かんできたビジュアルを言葉にすることで乗り切ってきました(笑)」
西山「それがいいなと思って。書き手自身が考えたことが入っていない文章は、いま読む価値がないじゃないですか。調べればわかることや手垢の付いた言葉なら誰でも書ける時代なので。だから、清家さんの文章は好きです」
清家「ありがとうございます。でも関係ないことを書きすぎて、怪文書になりがちなんです(笑)。西山さんのような本業がプレイヤーという方も珍しいですし、いろいろな方に参入してほしいですね」
――メタルや音楽を語る言葉について考えるいい機会になりました。本日はありがとうございました。
■西山 瞳
LIVE INFORMATION
高槻ジャズストリート
2026年5月3日(日)大阪 JR高槻駅・阪急高槻市駅周辺を中心に全52会場
時間:16:00~ 生涯学習センター2階多目的ホール
出演:西山瞳 HIRAKATA TRIO 西山瞳(ピアノ)、鈴木孝紀(クラリネット)、光岡尚紀(ベース)
時間:18:00~ 高槻城公園芸術文化劇場 南館 太陽ファルマテックホール
出演:西山瞳(ピアノ)
※入場無料
2026年5月9日(土)神奈川・横浜 上町63
開演:15:00 ※2セット
出演:西山瞳(ピアノ)、西嶋徹(ベース)
ミュージックチャージ:3,300円 ※学割あり
TEL:045-662-7322
2026年5月13日(水)東京・大泉学園 in “F”
開場/開演:19:30/20:00
出演:小美濃悠太(ベース)、西山瞳(ピアノ)、秋元修(ドラムス)
チャージ料金:3,000円
TEL:03-3925-6967
西山 瞳 Solo Concert
2026年5月23日(土)東京・尾山台 um
開場/開演:14:30/15:00
出演:西山瞳(ピアノ)
予約/当日:3,500円/4,000円
ご予約フォームはこちら:https://um-musica.com/17657
2026年5月30日(土)東京・成城学園前 CAFE BEULMANS
開場/開演:12:30/13:00 ※2セット、入替なし
出演:西山瞳(ピアノ)、酒井麻生代(フルート)
ミュージックチャージ:3,300円+2 drinks order
TEL:03-3484-0047
RELEASE INFORMATION
西山瞳率いるメタルカバープロジェクトNHORHMの1stと2ndアルバムがリマスタリング&紙ジャケ仕様にてリリース!!

リリース日:2024年12月4日(水)
品番:APLS1510R
価格:2,750円(税込)
TRACKLIST(曲名 / オリジナルアーティスト)
1. In the Dead of Night / U.K.
2. Walk / Pantera
3. Man On the Silver Mountain / Rainbow
4. Skin Oʼ My Teeth / Megadeth
5. Fear of the Dark / Iron Maden
6. Upper Levels / ANGRA
7. 悪夢の輪舞曲 / BABYMETAL
8. Demonʼs Eye / Deep Purple
9. The Halfway to Babylon / 西山瞳
10. Green-Tinted Sixties Mind / Mr. Big
■メンバー
西山瞳 piano
織原良次 fretless bass
橋本学 drums
■ゲストミュージシャン
小田朋美 vocal track 4
馬場孝喜 a. guitar track 5
市原ひかり trumpet track 8
橋爪亮督 sax track 10

リリース日:2024年12月4日(水)
品番:APLS1612R
価格:2,750円(税込)
TRACKLIST(曲名 / オリジナルアーティスト)
1. Kings Of Metal / Manowar
2. Speed / Loudness
3. All Over The Nations / Helloween
4. Decadence Dance / Extreme
5. Beyond The Realms Of Death / Judas Priest
6. Iron Man / Black Sabbath
7. Mystery Of Babylon / 西山瞳
8. Over The Hills And Far Away / Gary Moore
9. The Gift Of Music / Dream Theater
10. THE ONE -Live Version- / BABYMETAL (Bonus Track)
■メンバー
西山瞳 piano
織原良次 fretless bass
橋本学 drums
■ゲストミュージシャン
田中充 trumpet track 4
宮崎隆睦 a. sax track 4
橋爪亮督 t. sax track 4
池田雅明 trombone track 4
冠徹弥(from THE 冠)vocal track 4

リリース日:2024年10月2日(水)
品番:MT-13
価格:3,190円(税込)
TRACKLIST(全曲 西山瞳作曲)
1. Echo エコー
2. West World ウエスト・ワールド
3. Ants アンツ
4. Arrakis アラキス
5. Raindrops レインドロップス
6. Cobalt Blue コバルト・ブルー
7. River リバー
■メンバー
西山瞳 ピアノ、作曲 Hitomi Nishiyama piano, compose
西嶋徹 ベース Toru Nishijima bass
則武諒 ドラムス Ryo Noritake drums
鈴木孝紀 クラリネット Takanori Suzuki clarinet (except 5)
橋爪亮督 テナーサクソフォン、フルート Ryosuke Hashizume tenor saxophone, flute (except 5)
maiko バイオリン maiko violin (except 5)
2023年7月12-14日 群馬県高崎市TAGO STUDIO TAKASAKIにて録音
録音・ミックス・マスタリング:松下真也(Piccolo Audio Works)
FAZIOLI F278使用 ピアノ技術:越智晃(Fazioli Japan Co., Ltd.)
写真:和田高広(ライトアンドプレイス湿板写真館)

リリース日:2025年10月1日(水)
品番:MT-15
価格:3,520円(税込)
TRACKLIST(全曲 西山瞳作曲)
1. Bye For Now バイ・フォー・ナウ
2. Blue Nowhere ブルー・ノーウェア
3. Pescadores ペスカドーレ
4. Changing チェンジング
5. Standing There スタンディング・ゼア
6. SAKIRA サキラ
7. Just By Thinking Of You ジャスト・バイ・シンキング・オブ・ユー
8. Wright Flyer ライト・フライヤー
9. Bye Bye Blue Fish バイ・バイ・ブルー・フィッシュ
10. You Are Not Alone ユー・アー・ノット・アローン
11. Aprilis アプリリス
12. Fall フォール
13. Keys キーズ
14. This I Promise You ディス・アイ・プロミス・ユー
15. Blue And Blue ブルー・アンド・ブルー
16. Remains To Be Seen リメインズ・トゥ・ビー・シーン
西山 瞳 ピアノ、作曲 Hitomi Nishiyama piano, compose
2025年4月28日 東京都豊島区MERCY MERCYにて録音
録音、ミックス、マスタリング:春日洋
FAZIOLI F156使用
ピアノ技術:越智晃(Fazioli Japan Co., Ltd.)
デザイン:吉岡渉
PROFILE: 清家咲乃
ライター。主に音楽について書いています。専門はメタル。媒体問わず活動中。
PROFILE: 西山 瞳

1979年11月17日生まれ。6歳よりクラシックピアノを学び、18歳でジャズに転向。大阪音楽大学短期大学部音楽科音楽専攻ピアノコース・ジャズクラス在学中より、演奏活動を開始する。卒業後、エンリコ・ピエラヌンツィに傾倒。2004年、自主制作アルバム『I’m Missing You』を発表。ヨーロッパジャズファンを中心に話題を呼び、5か月後には全国発売となる。2005年、〈横濱JAZZ PROMENADE ジャズ・コンペティション〉において、自身のトリオでグランプリを受賞。2006年、スウェーデンにて現地ミュージシャンとのトリオでレコーディング、『Cubium』をSpice of Life(アミューズ)よりリリースし、デビューする。2007年には、日本人リーダーとして初めて〈ストックホルム・ジャズ・フェスティバル〉に招聘され、そのパフォーマンスが翌日現地メディアに取り上げられるなど大好評を得る。以降2枚のスウェーデン録音作品をリリース。2008年に自己のバンドで録音したアルバム『Parallax』では、スイングジャーナル誌日本ジャズ賞にノミネートされる。2010年、〈インターナショナル・ソングライティング・コンペティション〉(アメリカ)で、全世界約15,000のエントリーのなかから自作曲“Unfolding Universe”がジャズ部門で3位を受賞。コンポーザーとして世界的な評価を得た。2011年発表『Music In You』では、タワーレコードのジャズ総合チャートで1位、HMVの総合2位にランクイン。CDジャーナル誌2011年のベストディスクに選出されるなど、芸術作品として重厚な力作であると高い評価を得る。2014年には自身のレギュラートリオ、西山瞳トリオ・パララックス名義での2作目『Shift』を発表。好評を受け、アナログでもリリースする。2015年には、ヘヴィメタルの名曲をカバーしたアルバム『New Heritage Of Real Heavy Metal』をリリース。マーティ・フリードマン(ギター)、キコ・ルーレイロ(ギター)、ヤング・ギター誌などから絶賛コメントを得て、発売前よりメタル・ジャズの両面から話題になり、すべての主要CDショップでランキング1位を獲得。ジャンルを超えたベストセラーとなっている。同作は『II』(2016年)、『III』(2019年)と3部作としてシリーズ化。2019年4月には『extra edition』(2019年)もリリース。自身のプロジェクトの他に、東かおる(ボーカル)とのボーカルプロジェクト、安ヵ川大樹(ベース)とのユニット、ビッグバンドへの作品提供など、幅広く活動。〈横濱JAZZ PROMENADE〉をはじめ、全国のジャズフェスティバルやイベント、ライブハウスなどで演奏。オリジナル曲は、高い作曲能力による緻密な構成とポップさが共存した、ジャンルを超えた独自の音楽を形成し、幅広い音楽ファンから支持されている。
