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若者が熱中する新しいヘヴィで過激な音

西山「武田さんは最近のバンドも聴きますか?」

武田「いろいろ聴きますね。ディスクニオンによく行きます。タワーレコードの人の前で言うのもなんですが(笑)」

――必ずCDで聴くそうですね。

武田「それはやっぱり、伊藤政則直系の人間として。CDを購入して、頭からちゃんと最後まで聴くことを自分に課しています。Spotifyというものが便利らしい、とは聞いていますが(笑)。

本にしてもCDにしても、モノが増えていくことに対する変な快感があるので、どんどん積み上げています。ユニオンでもタワレコでも、メタルのコーナーにはカゴを持ってCDを大量に突っ込んでいる先輩たちがちゃんといますよね。どんどん体感型になっているタワレコ渋谷でもまだメタルのCD棚の面積が大きいのは、その人たちや私のおかげです(笑)」

――いまハマっている若手や中堅のバンドはいますか?

武田「去年見たライブでいえば、ローナ・ショアのZepp DiverCity (TOKYO)公演がすごかった。空間自体が揺れている感じで、出音がとんでもなかった。一つ先の音がどこへいくのか約束されてないような展開がずっと続く演奏は強烈でした。ここでもまた、メタルファンを押しのけ、若い人たちがバンドに没入していく空気もよかったです」

西山「チケットが完売していましたもんね」

武田「ええ。10月にまた来日するそうですが」

西山「ローナ・ショアの次の日にアンプロセスドのライブがあったので、私はそっちに行ったんです。そちらもお客さんたちは若かったですね」

武田「そういうヘヴィロック、そのなかでも過激な音が何を要因として盛り上がっているのかが読み解けないので、興味深い動きだと思います」

 

〈イントロ〉が長い文章が好き

――武田さんはアルバムレビューやライブレポートをどう書いていますか?

西山「レポートはメモを取るんですか?」

武田「取りますが、事細かに書くというより、ある程度書き留めておくぐらいです。繰り返し書いてきた経験があるわけではないので、まだノウハウを掴めていないところはあります。『ヘドバン』の企画で、メイデンの来日公演の全日程に行く記事を書きましたが、彼らって、曲だけではなく演出面でも一挙手一投足変わらないセットで周るので、徐々に慣れて書けることも増えました。

ディスクレビューやライナーノーツを書くときは、クラシックなやり方ですが、何度も聴き込み、〈なんでこの曲順にしたんだろう〉と頭のなかで物語を作って書いています。それも政則イズムなところがあって、政則さんが忙しかった頃の文章って、中身の解説に入るまでのプロセスが長いんですよね。まだ本編に行かないの?みたいな(笑)。ああいうイントロが長い文章が好きなんです。いまは、書き手が自我を出さないというか、Wikipediaみたいなライナーを書く人も多いですよね。なので、前段を長く書き、自分とバンドとの接点に触れながら本題に入っていくようにしています」

西山「ただでさえ限られている文字数が、情報だけで埋まっちゃっているのは寂しいですよね。私も、書き手の考えを書いてほしいって思います。武田さんは、意図してそういうことを入れているのかなと」

武田「そうですね。来月出るディープ・パープルの新作(『Splat!』)のライナーを書いたのですが、パープルなんて、歴史を書こうとしたらそれで字数が全部埋まっちゃう(笑)。とはいえ、彼らの場合、歴史をないがしろにもできないですし、どう書こうかと悩みました。

この前の日本武道館公演を見に行きましたが、新曲を3、4曲セットリストに入れるんですよね。イアン・ギランが歌いやすい曲を入れておく措置ではあるのでしょうか、そうやって前に進んでいく姿勢を持てている大ベテランは少ないと思ったので、そういったことを書きましたね」

DEEP PURPLE 『Splat!』 earMUSIC/NEXUS(2026)