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ISLEY JASPER ISLEY Broadway's Closer To Sunset Blvd /Caravan Of Love/Different Drummer Superbird(2010)
アイズレーズの年少組が新結成したトリオによるCBS原盤の3作を2CDにまとめたお得盤。各種シンセを巧みに操るクリスが中心となって紡いだモダンでクールなグルーヴは、旧来のアイズレー・マナーにハッシュ・サウンド的なブラコン感覚を加えたもので、ファンキーなメッセージ・ソングも聴かせる。白眉はセカンド・アルバムの表題曲“Caravan Of Love”や“Insatiable Woman”といったメロウ・チューン。 *林
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クリスの初ソロ作。アイズレー・ジャスパー・アイズレーの延長線上にあるメロウな作風で、ニューウェイヴやドゥービー・ブラザーズ的AOR感覚も忍ばせながら、柔和にして情熱的なヴォーカルで〈ひとりアイズレー〉を演じていく。表題曲はジャスパー家の親族がチャントで参加した教育的メッセージ・ソング。マーヴィン・ゲイ風のシンプルな打ち込みファンク“Dance For The Dollar”など好曲揃いだ。 *林
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自身のゴールド・シティではリズ・ホーグやブラザズ・バイ・チョイスを手掛けたクリスだが、これは外部プロデュース仕事。ラス・タイトルマンと共同制作した“Make It Last”がそれで、アイズレー流の打ち込みミディアム・グルーヴに乗って歌うチャカが新鮮だ。終盤ではクリスの声も登場。 *林
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商売っ気ゼロなジャケ(アートワーク担当は息子のニコラス)に愕然とする人もいそうだが……家族経営ぶりも極まった本作は、ベスト盤も含めれば通算7作目。AORタッチの表題曲、フォーク調の“He Walked Alone”など、シンプルな意匠で神を讃美する穏やかな歌い口には悟りを開いた者だけの晴れやかさが溢れている。カーティスっぽい“Faith”が優しい。 *出嶌
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似た作風のアルバムが多いクリスだが、これは近年でもっともファンク色が強い一枚。ただし、別掲『Superbad』からの数曲をはじめ、過去のソロ作に収録されていた曲の再演も多く、新録ベスト的な趣もある。トークボックス/ヴォコーダー使いの表題曲を筆頭に、70年代アイズレーのようなヘヴィーなシンセ・ファンクで畳み掛ける展開がスリリング。 *林
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クリスの末の息子によるファースト・アルバムは、80年代エレクトロの風情もあるインスト主体のダンス・アルバムに。トータルな実力が測れる仕上がりではないものの、クリスの引き出しにあった様式のひとつも若者なりの作法でトッピングしてみた習作のような感じか。共同プロデュースを務める親父はトークボックスやコーラスで助力している。 *出嶌
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愛息マイケルがリズム・トラックの構築に関わったためか、グルーヴィーな感触をさらに増した10作目。腰の入ったメッセージ・ファンク“Keep Believin'”や“Let My People Go”で70年代アイズレーのマナーを踏襲しつつ、ドゥービーっぽくマイルドな“Truly”や“Prince Of Peace”での朗々たる振る舞いはクリスならではの味わいだ。好盤。 *出嶌