季節の移り変わりとは関係ないリイシュー

 年が変わってもリイシューの道に終わりはないので、手始めに今回の連載テーマにも通じるヴォーカル・グループものから紹介したいです。

THE DELLS Freedom Means Cadet/SoulMusic/Caroline(1971)

まずは、2012年の解散まで60年に渡って王道を歩んだデルズの71年作『Freedom Means....』(Cadet/SoulMusic/Caroline)が待望の初CD化! まるで復刻の進まないキャデット時代の彼らを代表する一枚で、チャールズ・ステップニー御大の管弦を凝らしたソフト・サイケなアレンジは、フリー・ソウル的であると同時にエイドリアン・ヤングの音世界にも繋がるもの。ドゥルー・ヒルジョス・ストーンの取り上げた大名曲“The Love We Had(Stays On My Mind)”もここが初出となります。

 

THE DRAMATICS Shake It Well ABC/SoulMusic/Caroline(1977)

で、そのデルズと共演盤を出したこともあるデトロイトの雄=ドラマティックスは、77年の『Shake It Well』(ABC/SoulMusic/Caroline)が増補復刻。順調にCD化が進むなかでも穴になっていたABC時代の一枚で、中身は毎度のドン・デイヴィス師匠を後見役に据えつつ、グリッティーな表題曲に顕著な粘っこいファンク・テイストで時代に挑んだもの。デニス・コフィもギターで参加しています。

 

MOODS Moods Soiree/BBQ(1978)

なお、ミッドウエストものということでは、セントルイス産の埋もれた傑作として知られたムーズ78年作『Moods』(Soiree/BBQ)が16年ぶりにCD化。往時はローカルの隠れ名品という評価でしたが、昨年BBE編集のディスコブギー・コンピに“Live Today”がピックされていたことを思うと、ブギーやモダン・ソウルという文脈を踏まえた今日的な再評価も反映しての好リイシューと言えましょう。

 

THE SYLVERS Something Special Capitol/SoulMusic/Caroline(1976)

一方、度重なる再評価の好機にもほぼ全作が未CD化状態の続くシルヴァーズは、76年の『Something Special』(Capitol/SoulMusic/Caroline)がやっと復刻されました。昨年デイム・ファンクとの共演で脚光を浴びたリオン・シルヴァーズ3世を擁する兄弟姉妹グループで、これはANARCHYのネタ使いも思い出されるメロウな“That's What Love Is Made Of”や爽快なディスコ・ヒット“Hot Line”などを収めたヤング・ソウルの良品。後にシャラマーらを手掛けて天下を取るリオンにとってはセルフ・プロデュースに乗り出す直前の一枚ながら、モータウンで名を馳せた名匠フレディ・ペレンジャクソン5のその後を託したようなグルーヴィーな意匠と、少年少女感を帯びた甘口のハーモニーが最高なのです。

 

PASSAGE Passage A&M/Funky Town Grooves(1981)

で、そのリオンと同じベーシストという強引な繋がりで最後に紹介するのは、昨年亡くなったルイス・ジョンソン渾身の一作……パッセージの81年作『Passage』(A&M/Funky Town Grooves)も、グレーじゃないCD化はこれが初めてのはず。これはルイスがブラザーズ・ジョンソンの成功後に夫人らと組んだゴスペル・プロジェクトの唯一のアルバムで、“I See The Light”を筆頭にリリックはインスピレーショナル、なれどAORムードも濃厚なアーバン・ファンク集として楽しめる内容になっていますよ!

※連載〈IN THE SHADOW OF SOUL〉第90回の記事一覧はこちら