ESSENTIALS
シリータの主要アルバムを紹介
不遇だったリタ・ライト時代の楽曲集。既発は“I Can't Give Back The Love I Feel For You”と“Something On My Mind”というアシュフォード&シンプソン作の2曲だけで、残りは発掘音源となる。出会ったばかりのスティーヴィー（ら）が手掛けた力強いグルーヴの“Ain't I Gonna Win Your Love”、シュープリームスのデモ用シンガーだったことを示唆する“Love Child”のシリータ版、モーウェスト時代のお蔵入りなど、初出が18曲もあることに驚く。 ＊林
スティーヴィーがマルチな才能を発揮したモーウェスト発の処女アルバム。“I Love Every Little Thing About You”のシリータ版をはじめ、ビートルズ曲やスモーキー・ロビンソン作のモータウン曲が独自解釈で歌われる内容は、社会派の“Black Maybe”も含めてニュー・ソウル的だ。後にBB・キングが取り上げる“To Know You Is To Love You”ではスティーヴィーも共演。 ＊林
またデビュー盤のような表題を付けてもOKなほど、初作はコケたのだろうか。ともかくこの2作目でもスティーヴィーが全面援護しているが、シンセ実験時代の彼らしい主張が注がれていた前作に比べ、伸びやかな個性がマイルドに楽しめる。快活で前向きに響く“I'm Goin' Left”から、しなだれかかるようにブルーな“Heavy Day”まで上々の内容で、GC・キャメロンとのデュエットも収録。 ＊出嶌
モータウンで実績を積んでいたリオン・ウェアと、当時の夫だったベーシストのカーティス・ロバートソンJrを共同プロデューサーに迎えた3作目。メロウでアダルトなミッドを中心にした楽曲が洒脱な軽さを引き出し、唐突なアフロ・ディスコ調の“Tiki Tiki Donga”も聴きモノ。唯一スティーヴィー制作の75年曲“Harmour Love”は童謡のような異質さだが、彼女の声にはハマッている。 ＊出嶌
モーウェスト時代の仲間ですでに共演済みでもあったスピナーズ出身者との共演盤。KREVA“アグレッシ部”ネタの“All Things Happen For A Reason”に代表されるエレキ・シタール使いのスウィート・ソウルに、プロデュースを手掛けたマイケル・ラヴ・スミスの甘茶センスを感じる一枚で、無骨なGCとクリアな美声のシリータはメロウに迫る。ディスコ調の華やかなアップも収録。 ＊林
ジェリー・ピータースらが手掛けた西海岸マナーのメロウ・ソウル、ハル・デイヴィス制作のアップ、鍵盤でも参加したビリー・プレストンと歌うバラードが混在するスケールの大きな好盤。過去に自身が共作した2曲のスティーヴィー名曲をAOR～ディスコ調で取り上げ、シェリー・ブラウンを交えてビル・ウィザーズ曲をカヴァーするなど、ニュー・ソウル時代の回顧も彼女らしい。 ＊林
いまもデュエット名曲の一つに数えられるヒット・ナンバー“With You I'm Born Again”（現行のリイシューにはボーナス収録）のケミストリーをアルバム全編で展開せんとした、ビリー・プレストンとのカップル盤。この2人ならではの妙味というのは希薄ながら、オトナな軽めのダンス・トラック主体の作りは悪くない。プロデュースはオリー・ブラウンやマイケル・マッサーら。 ＊出嶌
ハル・デイヴィスとオリー・ブラウンらがプロデュースし、ホーン・アレンジはジェリー・ヘイ、という当時らしい布陣で臨んだソロ5作目。開放感のあるグルーヴで瑞々しい歌唱をキュートに響かせたディスコ調の好曲をメインに、彼女自身もペンを交えたナンバーまでライトな感触がブライトに活かされている。この後のモータウン最終作『The Spell』（83年）もそろそろCD化してほしい。 ＊出嶌
