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◆北野 創

GONTITI 「we were here」−40 years have passed and we are here− ポニーキャニオン(2018)

親が88年作『In the Garden』をよく聴いていた影響で、昔からGONTITI好きな自分。以前インタヴューさせていただいたときにド緊張したのは苦い思い出ですが……そんなお二人の結成40周年イヤーを飾ったアルバムは、Dorian参加曲などのデジタル感に初期の風情を感じさせつつ、いつも通りのまったり和める快楽音楽がたっぷり。バレアリックとか環境音楽とか〈俗流アンビエント〉といったトレンドにもハマるうえに、それとは関係なく永遠に楽しめるミュージック。

 

◆久保田泰平

PEOPLE UNDER THE STAIRS Sincerely, The P Piecelock 70(2019)

ドジャースを応援しはじめて25年。2019年はふと思い立って、〈LA〉のキャップを被ってたりジャケでファンをアピールしてる新譜をいくつか試聴していたんですが(100%ヒップホップ)、そのなかで、オールド・スクールなフレイヴァー漂うコイツがヒット。好きだけど知識的に薄いので、恥ずかしながらヴェテランの方々とはこのラスト作まで知りませんでした。結成したのが95年って、野茂英雄がメジャー・デビューした年じゃん!

 

◆桑原シロー

RACHAEL & VILRAY Rachael & Vilray Nonesuch(2019)

何の変哲もないジャズ・ヴォーカル作品だけど、初対面時に〈あっ……〉となった感覚が忘れられない。レイク・ストリート・ダイヴのレイチェル・プライスとギタリストのヴィルレイとが組んだデュオの初作が放つ不思議な魅力を解明できないまま2019年が過ぎようとしているが、レトロチックでくすんだ音色の向こうで、良いものは良い、と頑固に主張する彼らの毅然とした態度にこそ惹き付けられているのかも、とたったいま思った。粋とはこれ。

 

◆郡司和歌

田我流 Ride On Time Mary Joy(2019)

7年間待っていた甲斐があった! Stillichimiyaや田我流とカイザーソゼでの活動、映画「バンコクナイツ」出演などを経てリリースされたソロ作。現在に繋がる20代前半の大きなエッセンスを振り返る“Back In The Day2”、理想と現実で葛藤する姿を綴った“Deep Soul”など、内面と真摯に向き合い、心の声を吐き出すことでポジティヴな未来へと昇華させた彼の姿は清々しく何よりも力強かった。青春の甘酸っぱさが沁みるEVISBEATSとの共作“Change”はMVのオチも最高!

 

近藤真弥

DAVE Psychodrama Neighbourhood(2019)

いま、イギリスでもっとも光り輝いているラッパーによる傑作デビュー・アルバム。2分台の曲も珍しくない現在において、11分に及ぶ“Lesley”を収録するなど、やりたいことをやるという表現者としての信念が感じられる内容。社会的不平等や日常の些細なことまで、幅広い題材を扱った歌詞も素晴らしい。〈グラストンベリー〉出演時には、観に来ていた一般人をステージに上げたりと、伝説的エピソードも残している。

 

◆澤田大輔

カントリー・ガールズ カントリー・ガールズ大全集① Zetima(2019)

2019年末のライヴをもって活動休止する4人組のベスト盤。メンバーの卒業やグループ体制の変更によって断続的な活動を余儀なくされるなど、決して順風満帆とは言い難い5年間を歩んできた彼女たちだが、そのチャーミングな楽曲&パフォーマンスを通じて、群雄割拠のハロプロにおいても一線を画する個性を育んできた。特にナイアガラ調の“気ままな片想い”やジャジーな“待てないアフターファイブ”といった活動後期のナンバーが湛える洒脱で奥ゆかしい魅力は……何ものにも代え難い!

 

◆柴田かずえ

SOIL & "PIMP" SESSIONS MAN STEALS THE STARS Getting Better(2019)

2019年の最後に、その年の音楽シーンを総括するような傑作が誕生! ここ数年でLAから世界を席巻したブレインフィーダー勢のヴァイブスと、ロンドンで今年随一の最重要人物となったシャバカ・ハッチングス周辺の新世代ジャズ・ムーヴメント、そこにバンドがもともと持っていた〈デス・ジャズ〉というパンクなスピリットを見事に融合させた一枚。ジャンルの枠を軽々と越え、ロック・ファンやブラック・ミュージック・フリークにも聴いてほしいサウンドがここにある。

 

◆田山雄士

Kitri Secondo BETTER DAYS(2019)

〈2020〉という数字にいまだ実感が湧かないまま、新年を迎えることになりそうです。2019年はサブスク解禁をはじめ、アーティストが作品のリリース方法を例年以上にいろいろと模索していた気がしますが、聴く側も凝り固まらず柔軟に、自分が好きな音楽と好きな環境を選んでいきたいなと思いました。双子のような姉妹ユニット、Kitriの息の合ったピアノ連弾、ポップでミステリアスな楽曲は、気持ちをほぐすのにおすすめ。不思議と癒されます。1月リリース予定のフル・アルバム『Kitrist』も楽しみ!