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BETTY WRIGHT I Love The Way You Love Alston/Solid(1972)

アトコ発の処女作(68年)に続き、マイアミの歌姫が10代後半に出したアルストン第1弾。リトル・ビーヴァーのギター・リフも軽快なファンキー・ソウル“Clean Up Woman”が定番ネタとして持て囃されるアルバムで、ミディアム・バラードの表題曲を筆頭に成熟した歌を聴かせる。クラレンス・リードとウィリー・クラークがマイアミ・ソウルの作法を確立した作品としても重要だ。 *林

 

LITTLE BEAVER Joey Cat/Solid(1972)

10代からセッションに参加していたギタリスト兼シンガー(本名ウィリー・ヘイル)。ロケッティアーズとの活動などを経て放った初アルバムは、ベティ・ライトが参加した表題曲をはじめ、ブルージーなギターとやるせなくディープなヴォーカルで情熱を込めていくブルーズン・ソウルな内容だ。ボビー・ブランド“Two Steps From The Blues”のカヴァーからも狙いは明らか。 *林

 

BETTY WRIGHT Hard To Stop Alston/Solid(1973)

クラーク&リードのコンビにスティーヴ・アレイモを加えて制作された3作目。ウーマンリブ運動の賛歌となったヘレン・レディ“I Am Woman”のカヴァーで幕を開けるように女性のプライドを謳ったアルバムで、男女関係に鋭く斬り込んだグルーヴィーなファンク“The Babysitter ”など、マイアミらしい乾いたサウンドでディープに迫る。アル・クーパー作&演奏のバラードも収録。 *林

 

BLOWFLY Butterfly Weird World/Solid(1973)

マイアミ・ソウルの立役者であるクラレンス・リードが覆面姿で別人格を装ったブロウフライとしての2作目。X指定な放送禁止用語を散りばめたファンキーな漫談アルバムで、表題通りにラップを聴かせるメロウな“Rap Dirty”などはマイアミの後輩にあたるルーク(2ライヴ・クルー)の先駆けとでも言うべきもの。猥雑な内容は賛否両論だが、黒人芸能の真髄を極めた意欲作だ。 *林

 

CLARENCE REID Running Water Alston/Solid(1973)

相棒のウィリー・クラークやスティーヴ・アレイモをプロデューサーに迎えたアルストンでの2作目。ニュー・ソウル以降のモダンさを備えたサザン・ソウル作品で、後にルー・カートンらが取り上げる“New York City”などをディープな嗄れ声で歌ってみせる。ファンキーな“Living Together Is Keeping Us Apart”はドラム・ブレイクの定番。ブロウフライのクリーン版とも言える。 *林

 

GEORGE McCRAE Rock Your Baby T.K./ワーナー(1974)

グウェン・マクレーを妻にしていたフロリダ出身のシンガー。ディスコ・ブームに乗じて大ヒットしたリズムボックス使いのパーカッシヴな表題曲で知られる本デビュー作は、KC&ザ・サンシャイン・バンドのふたりが手掛けた開放的なサウンドでTKのイメージを決定づけた。ジョージの情熱的な歌声も際立つ。“I Get Lifted”は定番ネタのファンクで、後にケムらもカヴァー。 *林

 

GWEN McCRAE Gwen McCrae Cat/Solid(1974)

夫ジョージ・マクレーとのデュオ盤を経て、本作でソロとしてアルバム・デビュー。スティーヴ・アレイモの制作で、当時のTKオールスターズとでも言うべき面々の演奏をバックにディープでタフなヴォーカルを聴かせるグウェンは、JBファミリーの女性たちに通じる迫力がある。緊張感とレイドバック感を両立させたファンクなバラード“90%Of Me Is You”はネタとしても有名。 *林

 

LATIMORE Let's Straighten It Out - More, More, More, Latimore Glades/Solid(1974)

もともとスティーヴ・アレイモのバックでピアノを弾き、60年代半ばにTK系列のデイドからデビューしていたテネシー男の、グレイズでの2枚目のアルバム。制作はアレイモでリトル・ビーヴァーらが演奏を固め、R&Bチャート首位に輝いた“Let's Straighten It Out”のほか、やるせない“Put Pride Aside”、ボビー・ブランドのカヴァーなどブルージーな歌い口が苦味と渋みを残す。 *出嶌

 

LITTLE BEAVER Party Down Cat/Solid(1974)

TK一派のギタリストとして幾多のセッションに参加していた最中に出したアルバム。間奏のギターとスキャトのユニゾンがジョージ・ベンソン風でもあるレイジーな表題曲がヒットしたビーヴァーの代表作で、同路線の“Get Into The Party Life”や“I Can Dig It Baby”など、マイアミの夕暮れを思わせるようなムードがたまらない。ヘタウマなヴォーカルもメロウさに拍車をかける。 *林

 

LITTLE BEAVER Black Rhapsody Cat/Solid(1974)

同年リリースとなる歌モノ中心の『Party Down』に対して、こちらは全編インスト。敬愛するウェス・モンゴメリーに捧げた冒頭曲をはじめ、ジャジーなオクターヴ奏法を披露しながらファンキーなギターを聴かせるアルバムで、後半ではガーシュイン、テンプテーションズ、ジャクソン5、アル・グリーンの名曲も奏でてみせる。ヴォーカルはなくても、ギターが実によく歌っている。 *林