インタビュー

荘村清志、福田進一、鈴木大介、大萩康司による夢のギター・ユニットが語る親密な癒しの音楽『DUO2』

この時期だからこそ癒し系の音楽を発信するDUO2

 2015年、ギターに最適な空間と音響をもつハクジュホールでスタートした〈ギター・フェスタ〉の10周年を記念し、誕生した〈DUO〉。日本を代表するギタリスト、荘村清志と福田進一という個性が異なるふたりの初共演による録音は高い評価を得ている。それから5年を経て、次世代のギター界を担う存在として熱い注目を集めている鈴木大介と大萩康司が加わり、〈DUO2〉が生まれた。これは4人が相手を変えながら6通りのDUOアンサンブルを繰り広げていくスタイル。長年演奏してきた自家薬籠中の作品から、DUOの歴史を物語る作品、〈ハクジュ・フェスタ2020〉の委嘱作品まで多岐に渡る曲が組まれている。まず、荘村清志がこのユニットの特徴を語る。

 「最初は個性も音楽性も人間性もまったく異なる福田さんと一緒に演奏するのは、お互いに探り合いのような感じでした。それが毎年共演を重ねていくうちに、彼はすごく思いやりがあり懐の深い人なのでその魅力もあって徐々に親密さが増し、いまでは気持ちがぴったり合って〈危ない関係〉になっている感じ(笑)。戦友のような意識がありますね」

 これを受けて福田進一は……。

 「荘村さんはギターのソリストとして個性を確立した人で、強烈な個性の持ち主。学ぶことは多いですね。最初はお互いに水と油というか油と酢といった方がいいかな、まったく異質なものだったのに15年間でそれが融合してドレッシングのようになった。私は鈴木大介は16歳から、大萩康司は14歳から知っていますし、彼らの音楽の成長はずっと見続けている。今回4人になって化学反応に変化が起きたわけですが、それがいい方向に作用し、バランスがとれたと思います」

 鈴木大介と大萩康司は新たに加わったといってもすでに4人は何度も演奏している。鈴木は先輩格のふたりに遠慮せずはっきり物をいい、気を遣わないように心がけている。

 「もちろん全員がいまのように何でも話せ、音楽が融合するまでは3、4年かかりましたよ。でも、今回のアルバムはそれぞれの組み合わせにより、ひとりひとりの音楽が微妙に変容していく。これが非常に興味深いところで、同じ人間なのに共演相手により音楽に変化が生じる。まさにDUOの醍醐味です」

 大萩も同様のことを感じている。

 「最初は各キャラクターの違いを感じ、強烈だと思いました。みなさん大先輩でリスペクトしていますが、そのなかで自分がいかにしたらひとつになれるかを考えた。今回は相手が変わると話し方が変わる。それが楽しい」

荘村清志,福田進一,鈴木大介,大萩康司 『DUO2』 Columbia(2020)

 彼らは年齢もキャリアも異なるが、各々相手を尊敬し、音楽を認め、相手に合わせながらも自身の音楽をしっかり主張している。荘村がアルバムについて明言する。

 「こんなに楽しい録音は初めてだった。確かに4人が演奏しているわけだけど、聴き終わるとカルテットを聴いたような、全体がひとつになっている感じがする。コロナ禍の時期だからこそ人の心にゆったりと届くような癒し系の音楽になっていると思います」

 福田進一が選曲について語る。

 「作品を委嘱したフランスのジャン=マリー・レイモンは現役のギタリスト。兵庫県のギタリスト稲垣稔(1958~2013)と親交が深かった人で、今回は荘村さんと世界初録音を行いました。テデスコやリョベートなど、DUOにゆかりの作曲家の作品や編曲版も入れました。鈴木と大萩のピアソラは最高ですよ!」

 コロナ禍に聴く癒しのギター。鈴木は「テクノロジーの発達で自宅で音楽をゆっくり聴くツールが増えた。ギターはひとりひとりに語りかけるような音楽。自分のために弾いてくれるような感覚を抱くことができます」。大萩も「人前で演奏できなくなり、光が消えて道に迷うような感じになったけど、だからこそ自分にとって音楽の大切に気付きました」

 4人の心がひとつになった、まさに響きの美学の誕生。心身が癒され、また活力も湧く。

 


LIVE INFORMATION

第15回Hakujuギター・フェスタ2021 原点回帰
○2021年8月20日(金)~22日(日)
【会場】Hakuju Hall
【出演】荘村清志、福田進一、鈴木大介、大萩康司、沖仁、松本大樹
www.hakujuhall.jp/syusai/233.html

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