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ESSENTIALS
柔和なエレガンスに溢れた好盤たち

SHEREE BROWN 『Straight Ahead』 Capitol/ユニバーサル(1981)

人気曲“It's A Pleasure”を収録したデビュー作。シーウィンドのホーンを交えた涼やかなアコースティック・ソウルは本人の歌声も含めて気品に溢れ、リチャード・ルドルフの制作だけに亡きミニー・リパートンの姿もダブるが、ジョン・ロビンソン(ドラムス)らによる都会的なグルーヴが80年代の到来も感じさせる。盟友パトリース・ラッシェンやシリータがバック・ヴォーカルなどで参加。   *林

 

SHEREE BROWN 『Straight Ahead / The Music』 Expansion(2011)

引き続きキャピトルから登場した82年のセカンド・アルバム『The Music』は、現在こちらの2in1でのみ入手可能。プロデューサーが元ルーファスのアンドレ・フィッシャーに交替し、音の印象はややエレクトロニックになっているものの、品のある歌い口と全体のオーガニックな爽快感は変わらず高品質だ。“On My Way Home”ではスティーヴィー・ワンダーがハーモニカで参加。  *出嶌

 

MINNIE RIPERTON 『Adventures In Paradise』 Epic(1975)

夫リチャード・ルドルフとステュワート・レヴィンとの共同制作で、後で振り返るとシェリー・ブラウン『Straight Ahead』の雛型だったとも言える涼やかな楽園感のある一枚。リオン・ウェアがペンを交えたメロウな3曲が話題になるが、本頁の文脈ではシェリーが“It's A Pleasure”で参考にしたのではないかと思いたくなるアコースティック・ソウル“Simple Things”を推したい。 *林

 

DENIECE WILLIAMS 『This Is Niecy』 ARC/Columbia(1976)

ワンダーラヴで活動したインディアナ州ゲイリー出身シンガー/ソングライターのデビュー作。亡くなる直前のチャールズ・ステップニーがモーリス・ホワイトと共同プロデュースを担い、可憐でシルキーな歌唱を品のある神秘的な意匠で輝かせている。スゼイ・グリーンがペンを交えた“Free”は近年のラプソディ×PJモートン“Afeni”に至るまでリサイクルも頻出する永遠の名曲だ。 *出嶌

 

KELLEE PATTERSON 『Turn On The Lights』 Shadybrook/OCTAVE(1977)

ブラック・ジャズ原盤の73年作『Maiden Voyage』でも知られるインディアナ州ゲイリー育ちのシンガー。これはソウル/ディスコ色を強めたシェイディブルック時代の2作目で、デヴィッドT・ウォーカー(ギター)やジェイムス・ギャドソン(ドラムス)らの演奏をバックに同郷のデニース・ウィリアムスにも通じる可憐な歌声を放つ。“Be Happy”はナタリー・コールを意識したのだろう。   *林

 

LINDA WILLIAMS 『City Living』 Arista/BBR(1979)

ナタリー・コールの曲を共作/アレンジし、鍵盤も担当していたNY出身のシンガー/ソングライター。裏方で名を上げてのアルバム・デビューという点も含めてパトリース・ラッシェンを支えたシェリーを思わせるが、ダンサブルな“Elevate Our Minds”などでのラテン感覚はこの人らしい。デレゲイション“Oh Honey”もカヴァー。LAとシカゴの精鋭と組んだ都会派ソウル作。 *林

 

BRENDA RUSSELL 『Brenda Russell』 Horizon/ユニバーサル(1979)

シェリーがギターならこちらはピアノ。AOR文脈でも愛されるNY出身シンガー・ソングライターの初作は、代表曲“So Good, So Right”やルーサー・ヴァンドロスも歌った“If Only For One Night”、ビッグ・パン~タリア~アリアナと継承された“A Little Bit Of Love”を含む都市型の名曲集。アンドレ・フィッシャーがプロデューサーとして飛躍した一枚で、スゼイ・グリーンの参加も。 *出嶌