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映画に映らない名演ガイド

BRENDA HOLLOWAY 『Spellbound: Rare And Unreleased Motown Gems』 SoulMusic(2017)

ベリー・ゴーディJrがその美貌に惚れ込み、モータウンに迎え入れたLAワッツ地区出身のシンガー。64年のデビュー・ヒット“Every Little Bit Hurts”とブラッド・スウェット&ティアーズ版でも有名な“You’ve Made Me So Very Happy”(67年)の2曲で社史に名を残す人だが、約4年の在籍期間には未発表曲を含め多数の曲を吹き込んでいた。それらを集めた本盤には、ソフトな声で歌う彼女のエレガントな魅力を活かした美曲が揃っている。 *林

 

THE SATINTONES 『Sing!: The Complete Tamla And Motown Singles Plus』 Ace(2010)

タムラで録音した最初のグループで、59~61年に6枚のシングルを残して解散したサテントーンズ。膨大な未発表音源を含むこの全曲集には、メンバーのチコ・レヴァレットがグループより先に出していたソロ曲も網羅され、ドゥワップ寄りの甘みやベリーが陣頭指揮を執っている雰囲気は黎明期ならでは。後に裏方として成功するソニー・サンダースや、この後マーヴェレッツ“Please Mr. Postman”を手掛けるロバート・ベイトマンも在籍していた。 *出嶌

 

THE CONTOURS 『Dance With The Contours』 Kent(2011)

メンバーにジャッキー・ウィルソンの従兄弟がいた関係でベリー・ゴーディJrと繋がり、モータウンと契約。ノヴェルティー感覚の曲も含めてコースターズに近いグループで、ツイストを下敷きにした62年の大ヒット“Do You Love Me”で知られる。同社でのアルバムは1枚のみだが、本盤には64年に発表予定だったお蔵入りアルバムに関連した曲を収録。ロックンロール風のダンス曲を荒々しいヴォーカルで歌う彼らの初期の魅力が詰まっている。 *林

 

THE VELVELETTES 『The Motown Anthology』 Motown(2004)

西ミシガン大学で出会った友人同士が妹らを交えて結成した5~3人組の女性グループで、都合6枚のシングルを残したヴェルヴェレッツ。このアンソロジーにはノーマン・ホイットフィールドによる“Needle In A Haystack”(64年)や80年代にバナナラマがヒットさせる“He Was Really Sayin’ Somethin’”(65年)などの代表曲はもちろん、大半が未発表だった全48曲をギッシリ収めて競争の熾烈さも窺わせる。スティーヴィー・ワンダー共作曲もアリ。 *出嶌

 

EDDIE HOLLAND 『It Moves Me: The Complete Recordings 1958-1964』 Ace(2012)

H=D=Hの一員として多数の曲を生み出し、モータウンの発展に貢献した奇才。シンガーとしても“Jamie”(61年)のヒットを飛ばすが、ステージ恐怖症もあって裏方に専念するようになった。が、当初は歌手をめざしていたこともあり、モータウン入社前の50年代後半から裏方仕事で多忙になる64年までに膨大な楽曲を吹き込んでいたのだ。未発表音源を含むこの全曲集には、ジャッキー・ウィルソンに通じる明朗な声で歌われたポップなR&Bが並ぶ。 *林

 

THE MONITORS 『Say You: The Motown Anthology 1963-1968』 Kent(2011)

テンプスの前身にいたリチャード・ストリートを中心に、女性1名を含む編成のモニターズは、厭戦の気持ちを忍ばせた“Greetings(This Is Uncle Sam)”(66年)の小ヒットが著名な4人組。この編集盤は唯一のアルバム『Greetings!... We’re The Monitors』(68年)にB面曲や12の未発表音源を加えたもので、爽やかな“Too Busy Thinking About My Baby”などは聴きどころだ。71年にリチャードのテンプス加入に伴って解散している。 *出嶌

 

MARV JOHNSON 『I’ll Pick A Rose For My Rose: The Complete Motown Recordings 1964-1971』 Kent(2011)

タムラ第1号シングル“Come To Me”(59年)を放ち、モータウン黎明期を飾ったシンガー。同社では60年代中期以降のシングルを含むアルバム『I’ll Pick A Rose For My Rose』を69年に出しているが、その前後に録音しながらお蔵入りした曲やモノ版シングルを加えてモータウン全音源集を謳ったのが本盤だ。高いトーンの声でジェイムス・ディーンやクラレンス・ポールらが制作したポップな曲を快唱。テンプス曲の未発表カヴァーも興味深い。 *林

 

KIM WESTON 『The Motown Anthology』 Motown(2005)

ソウル・チャート4位の大ヒット“Take Me In Your Arms(Rock Me A Little While)”(66年)を残すも、マーヴィン・ゲイとのデュエット“It Takes Two”(66年)がモータウンでの最大の功績と思われがちな女性シンガー。この編集盤にはアガサ・ウェストン名義の62年録音から、件のヒットを受けて出す予定だったアルバム用と思しき音源までを収録。敏腕プロデューサーである夫のミッキー・スティーヴンソンが溌剌とした歌声を活かした佳曲揃いだ。 *出嶌