FULL FORCE Full Force Columbia(1985)

記念すべきフル・フォースのデビュー作。後に〈元祖ニュー・ジャック・スウィング〉と言われる“Alice, I Want You Just For Me!”を筆頭に、打ち込みのビートに生楽器を加えたオールド・スクール感覚の刺激的なアップが飛び出す、ミドル80sならではのR&Bアルバムだ。“Girl If You Take Me Home”はリサ・リサ&カルト・ジャムへの返答歌。“Please Stay”“The Man Upstairs”のようなスウィートなバラードも実に美しい。 *林

 

 

LA LA La La Arista(1987)

カシーフグレン・ジョーンズとの絡みで語られる本作だが、FFのプロデュース曲をアナログA面/B面のトップに配備していたことも忘れ難い。その“(If You)Love Me Just A Little”と“My Love Is On The Money”は共にソリッドなファンクで、いずれもシングル・ヒットに。初期FFのサウンドはシャープな女声と実に相性がいい。80年代NYを代表した両者の粋なタッグだ。 *林

 

 

JAMES BROWN I'm Real Scotti Bros.(1988)

アフリカ・バンバータとの共演盤や映画「ロッキーIV」のテーマ曲のヒットで久々に勢いづいていた帝王JBがFFと全面タッグを組み、本気でJBファンク復権を謳った快作。特にR&BチャートのTOP10入りを果たした表題曲と“Static”はヒップホップのサンプリング感覚を通じて70年前後のファンクを呼び覚ました名演・名唱で、イキイキとしたJBが最高だ。 *林

 

 

LISA LISA & CULT JAM WITH FULL FORCE Lisa Lisa & Cult Jam With Full Force Columbia(1985)

初期のFFと一心同体だった男女トリオのデビュー作。ニューウェイヴの流れを汲む“I Wonder If I Take You Home”(ブラック・アイド・ピーズなどが引用)や“Can You Feel The Beat”、アルーアのカヴァーやジル・スコットのリメイクが誕生したバラード“All Cried Out”の3大名曲を含む。リサ・リサのシャープな美声とFFの総合力が活かされた名盤だ。 *林

 

 

LISA LISA & CULT JAM Spanish Fly Columbia(1987)

デビュー・ブレイクを受けた初の単独名義作(現在は次作との2in1で入手可能)ながら、FFが全曲をプロデュースする体制は変わらず。ポップネスの弾ける(ラテン・)フリースタイル作法の“Head To Toe”と“Lost In Emotion”の2曲が全米No.1を奪取した絶頂期の一枚としても重要だし、FF節の厳かなバラード“Someone To Love Me For Me”も聴きどころ。 *出嶌

 

 

SAMANTHA FOX Samantha Fox Jive(1988)

UKのセクシー・モデル出身シンガーにUSで最大の成功を授けたのもFFだった。本作収録の“Naughty Girls(Need Love Too)”はフリースタイルエレクトロの流れにあるパーカッシヴなダンス・トラックで、リサ・リサっぽい音の雰囲気も好作用して全米3位まで上昇するヒットに。以降も何度となくFFと組み、新作にも駆けつけている〈フレンズ〉のひとりだ。 *出嶌

 

 

FULL FORCE Full Force Get Busy 1 Time Columbia(1986)

若干印象の薄い2作目だが、ハーモニーが冴える“Temporary Love Thing”を筆頭に、前作のエッジをキープしながらソウル・マインドをアピール。ポップなファンク“Old Flames Never Die”やドリーミーで重厚なスロウ“Body Heavenly”はプリンスに刺激を受けたか。FFが全能のバンドであると、ボウレッグド・ルーが息子(最新作に参加した幼児期のルースター)を洗脳するインタールードが微笑ましい。 *林

 

 

FORCE MD's Let Me Love You: The Greatest Hits Tommy Boy(2001)

最新作で〈フォース×フォース競演〉を果たしたNY仲間のFFとMD'sだが、過去にもFFはプロデューサーとしてMD'sに関与していた。このベストに収録されている“Are You Really Real?”は、90年作『Step To Me』のトップを飾ったFF流ニュー・ジャック・スウィング調のアップ。歌ゴコロを解した両者の顔合わせが失敗に終わるわけがない。 *林

 

 

LA TOYA JACKSON La Toya RCA(1988)

現在は『You're Gonna Get Rocked!』の名でリイシューされている野心作。FFはJBネタのヘヴィー・ファンク“You're Gonna Get Rocked!”を筆頭にド頭から4曲を手掛け、妹ジャネットの成功に乗っかろうとしたミネアポリス調の“Such A Wicked Love”など、この時期のFFらしい硬質なアップで押しまくる。上品めかしたスロウ“Not Giving Up On Love”もまずまず。 *出嶌

 

 

BACKSTREET BOYS Backstreet's Back Jive(1997)

US盤『Backstreet Boys』の雛形となったBSBの2作目で、FFはジェントルなバラード“All I Have To Give”を制作。FF自身も今回の新作で取り上げている同曲は、清潔感のあるハーモニーが演者の魅力にもマッチして全英2位/全米5位を記録した。ここでの成果を受け、以降のFFはインシンクCノートLFOのようなポップ・アクトも数多く手掛けていくことに。 *出嶌

 

 

FULL FORCE Still Standing Forceful/TVT(2001)

新録ナンバーに過去の名曲やシェリル・ペプシ・ライリー“Thanks 4 My Child”などのヒット仕事をプラスした変則的な一枚。インシンク提供曲の再構築や、アルーア、メソッド・マンスカーフェイスらゲストの豪華さが主役の威信を物語る。特にジェラルド・リヴァートジニュワインらを交えた“Float On With Us”の紳士的なスウィートネスがたまらなく最高! *出嶌