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人との出会い、時代とタイミングに恵まれたキャリア

――とは言いつつも、最初の自主制作アルバムを作られた時には、私はジャズで生きていくんだ、と思っていた?

「そういうふうに思ったことはないんですよ。ただ、あの時は、もう本当に壊滅的にライブへお客さんが来なくて、関西でオリジナルをやってる人なんか、数人を除いてまずいなかったから、そういうアルバムを関西で一つ出さないとあかんな、と思って録ったんですよね。

そうしたら思いのほか反響があって、全国リリースもすることになったら、HMVにいらしたバイヤーの瀧口譲司さんがすごくプッシュしてくださって。あとは大阪の〈ジャズの専門店ミムラ〉さんの三村晃夫さんにすごいプッシュしてもらったので、やっていいんやな、って思ったところはあります」

――それでSpice of Lifeさんから声がかかったんですね。

「そうですね。その前に、〈横浜ジャズプロムナード〉のコンペティションがあって、それで優勝したのもあって、それがきっかけで声をかけてくださったんだと思います。

佐々さんはその前にミムラさんで私のCDを買ってくださってたんです。コンペティションで優勝した時は他の会社も声をかけてくれたんですけど、自主制作のアルバムを聴いてくれていたのは佐々さんだけでした」

――それでヨーロッパでレコーディングですね。

「そうです、スウェーデンですね」

――それも素晴らしい話ですね。

「だからいい時代だったのかな、と思いますよ。私らの時はまだ(レーベルに)拾われたし、ちゃんと海外でレコーディングを設定してくれたりとか、そういうことがあったけど、今はそれは難しいですよね」

――タイミングの問題なんでしょうか。

「私が今ここにいてるのもタイミング良かっただけ、ってほんまに思ってますよ。コンスタントに、ちゃんと流通する、メジャーではなくインディーだけども、きちんとした会社からどんどん作品を出せたっていうことは、今にしてみたらありがたかったですね」

 

〈自分のボイス〉を手に入れた西山瞳のこれから

――それから20年、コンスタントに第一線で活躍されているわけですが、今年になって耳のご病気になられた、とお聞きしました。今はどんな感じなんですか?

「慢性的に悪い感じなので、もう慣れました。40代半ばぐらいに、いろいろなこと(心身の不調)が出てきてしんどくなるっていうのを聞いてたけど、わりと体の方にガッツリ来ましたね、私は」

――今でも長い間演奏したりするときついわけですか?

「はい。でも前に比べたらしんどくなる予兆もわかるし、対処ができてるから、なんとかなってる感じです」

――音楽家にとっては非常に辛いことだと思います。

「そうですね。ただ私、今年の12月から来年の4月まで演奏をちょっと休もうと思ってて、体調をちゃんと一回整えるために、音を聴かずにしばらく過ごそうかなと思ってます」

――できればそれがいいと思いますね。

「そう、一回ちゃんと休んでしまいたい、という気持ちもあって。その間に考えるべきことは考えられるかもしれないですね」

――休みに入る前の期間に、ソロのライブやコンサートとか、他の企画もあったりはするんですよね?

「はい、11月までいろいろありますね。〈休む〉って言ったら、〈じゃあ休む前までにこれをしよう〉という話がいろいろ来て、そしたら逆に忙しくなっちゃいました」

――『Dot』『Echo』の6人編成のプロジェクトとか、メタルの曲をジャズ化するNHORHMのトリオとかもやるんですか?

「『Dot』『Echo』は、やっと自分のボイスを手に入れることができたかなっていうことと、あと、共演者が好きな人ばっかりなので、そういう人たちとちゃんと作品を作れたのが嬉しかったです。

今度11月にそのメンバーでライブをするのですが、その時にライブレコーディングして、またゆっくり続けようかなと思ってます。NHORHMも、メンバーを変えて続けることになって、そのあとのことも考え始めています」

――なるほど。じゃあ新作を録る予定で?

「いやー、どうしようかなと思ってるんですよ。NHORHMは3部作でやりたい曲がだいたい網羅できたから、その後は何かテーマを決めないと完全に蛇足になっちゃうので、違う編成にするかもしれません。APOLLO SOUNDSのプロデューサーの阿部淳さんと相談しながら考えていくつもりです」

――僕は『Dot』『Echo』のサウンドがすごく好きで、日本の誇る〈ジャズの新しい形態〉だと思っています。ECMのマンフレート・アイヒャーに「これを聴け!」と言いたくなるぐらい(笑)。このタイミングで『Songs』を作って、しばらく充電されて、来年から〈第2期西山瞳〉の20年が始まるんだと思います。ご活躍を楽しみにしています。

 


RELEASE INFORMATION

西山瞳 『Songs』 MEANTONE(2025)

リリース日:2025年10月1日(水)
品番:MT-15
価格:3,520円(税込)

TRACKLIST(全曲 西山瞳作曲)
1. Bye For Now バイ・フォー・ナウ
2. Blue Nowhere ブルー・ノーウェア
3. Pescadores ペスカドーレ
4. Changing チェンジング
5. Standing There スタンディング・ゼア
6. SAKIRA サキラ
7. Just By Thinking Of You ジャスト・バイ・シンキング・オブ・ユー
8. Wright Flyer ライト・フライヤー
9. Bye Bye Blue Fish バイ・バイ・ブルー・フィッシュ
10. You Are Not Alone ユー・アー・ノット・アローン
11. Aprilis アプリリス
12. Fall フォール
13. Keys キーズ
14. This I Promise You ディス・アイ・プロミス・ユー
15. Blue And Blue ブルー・アンド・ブルー
16. Remains To Be Seen リメインズ・トゥ・ビー・シーン

西山 瞳 ピアノ、作曲 Hitomi Nishiyama  piano, compose

2025年4月28日 東京都豊島区MERCY MERCYにて録音
録音、ミックス、マスタリング:春日洋
FAZIOLI F156使用
ピアノ技術:越智晃(Fazioli Japan Co., Ltd.)
デザイン:吉岡渉

 

LIVE INFORMATION
CDリリースライブ

2025年8月10日(日)京都・岡崎 NAM HALL(先行発売コンサート) ※終了
2025年9月13日(土)東京・渋谷ホール(先行発売コンサート) ※終了
2025年10月17日(金)東京・三鷹 Natural 
2025年11月19日(水)愛知・名古屋 金山 Mr. Kenny’s
2025年11月22日(土)兵庫・神戸 甲南山手 gallery zing

 


PROFILE: 西山 瞳
1979年生まれ。2005年、〈横濱ジャズプロムナード〉のジャズ・コンペティションにおいて自身のトリオでグランプリを受賞。2006年、スウェーデン録音の1stアルバム『Cubium』をアミューズよりリリースし、デビュー。2007年に日本人リーダーとして初めて〈ストックホルム・ジャズ・フェスティバル〉に招聘され、2作のスウェーデン録音作品をリリース。2010年、米〈インターナショナル・ソングライティング・コンペティション〉で自作曲“Unfolding Universe”がジャズ部門の3位に入賞。2011年作『Music In You』は、CDジャーナル誌の2011年ベスト・ディスクに選出されるなど芸術作品として重厚な力作であると高い評価を得る。2015年にヘヴィメタルの名曲をカバーするユニットNHORHMを始動させた。アルバム『New Heritage Of Real Heavy Metal』はリリース前よりヘヴィメタルとジャズの両面で話題になり、ジャンルを超えるベストセラーとなった。シリーズ3作はいずれも高評価、好セールスを記録。以降、文筆活動も通じてジャズとヘヴィメタルを横断した活動を継続中。タワーレコード運営のウェブメディアMikikiにて継続中の連載〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉は、同サイトで圧倒的人気を誇る。2023年作『Dot』、2024年作『Echo』はジャズ、ヘヴィメタル、クラシックを踏まえた活動の集大成の連作として発表され、ストリーミングサービスを中心に世界中で聴きつづけられている。現在は自身のトリオを中心に全国のジャズフェスティバルやホール公演、イベント、ライブハウスなどで演奏活動中。オリジナル曲は高い作曲能力による緻密な構成とポップさの共存した、ジャンルを超えた独自の音楽を形成し、幅広い音楽ファンから支持されている。
ウェブサイト:https://hitominishiyama.net/