リイシュー市場に寒い冬は来ない?

 まず注目は、ジョニー・テイラーやボビー・ウーマックの別掲作も含む〈モダン・ディープ・ソウル コレクション〉のラインナップでしょう。これはディープ・ソウルを出自とする歌い手たちが激動の70年代後半~80年代初頭に残したメジャー作品群の正当な再評価を促す復刻シリーズで、特にタイロン・デイヴィスの世界初CD化となる2タイトルは鮮烈!

TYRONE DAVIS 『I Just Can’t Keep On Going』 Columbia/ソニー(1980)

 まず、80年作『I Just Can’t Keep On Going』は大推薦。60年代末から流麗なシカゴ・モードを切り拓いてきた大物がさらに都会的なマナーで80年代に臨んだアーバン・メロウ盤で、ピート・ロックやMUROの用いたネタも収録されています。

TYRONE DAVIS Everything In Place Columbia/ソニー(1981)

 翌年の『Everything In Place』も最高。引き続きレオ・グラハムの制作で、モダン・ソウル文脈で人気のミディアム“Just My Luck”を筆頭に80sシカゴの真髄に酔わされます。

LEON HAYWOOD Intimate Columbia/ソニー(1976)

 同シリーズではZZ・ヒルのブルージーな『Let’s Make A Deal』など世界初or日本初CD化モノだらけですが、とりわけレアなのはリオン・ヘイウッドの76年作『Intimate』です。キャリアを代表するヒット“I Want’a Do Something Freaky To You”の翌年にコロムビア移籍して唯一残したブツで、マーヴィン・ゲイのカヴァーも含めて都会的で快適なメロウ佳作となっています。

EDWIN STARR Soul Master Gordy/BBR(1968)

 最後はエドウィン・スターの初CD化モノで、サイケ色の濃い『Involved』もいいですがこのページ的には68年作『Soul Master』に注目。モータウン入社前の65~67年にリック・ティックに残した17曲のボーナスが貴重で、グルーヴズヴィル印の“My Kind Of Woman”も収録!