THE MANHATTANS Dedicated To You/For You And Yours Kent(1966/1968)

駆け出しのカーニヴァル時代に出した2枚のアルバムをまとめたCD。メンバーがペンを執ったオリジナルを中心にジョー・エヴァンスが制作し、ジョージ・スミスの粗削りなリードにモダンなハーモニーが絡む楽曲には、“Can I”など街角トワイライトなドゥワップの薫りが漂う。“Sweet Little Girl”など、インプレッションズからの影響も随所に感じさせる。 *林

 

 

THE MANHATTANS With These Hands/A Million To One FTG(1970/1972)

デラックスに残した3~4作目にボートラを加えた2枚組の復刻盤。ジョージ・カーの手掛けた『With These Hands』(70年)は〈君の瞳に恋してる〉やインプレッションズ曲も歌う路上感のある内容。ジェラルド・アルストン加入後の『A Million To One』(72年)はテディ・ランダッツォの制作で、後のコロムビア期とは異なる温かいハーモニーが優雅な雰囲気だ。 *出嶌

 

 

THE MANHATTANS There's No Me Without You Columbia/FTG(1973)

ボビー・マーティンがプロデュースし、MFSBがバックを固めた黄金のフィリー・サウンドによって一気に洗練を増したコロムビア移籍第1弾。ヒットした表題曲を筆頭にスロウが中心で、優雅なオーケストラと端正なハーモニーがジェラルドの歌を盛り上げる。ロード・バンドリトル・ハーレムと共作したファンキーな“Soul Train”は同名のTV番組を意識? *林

 

 

THE MANHATTANS That's How Much I Love You Columbia/FTG(1974)

イラストのジャケがフィリー感を物語る通り、引き続きボビー・マーティン体制によって作られつつ、デラックス時代に吹き込んでいた楽曲も収めた変則的な成り立ちの一作。ジェラルドならではの“A Change Is Gonna Come”カヴァーや清々しいバラード“Save Our Goodbye”が並ぶなか、ポジティヴな躍動感に溢れた“Don't Take Your Love”がヒットを記録。 *出嶌

 

 

THE MANHATTANS The Manhattans Columbia(1976)

大ヒットしたバラード“Kiss And Say Goodbye”を含むフィリー &NY録音の名盤。ボビー・マーティンとバート・デコトーの制作で、冒頭のフィリー・ダンサー“Searching For Love”から絶好調ぶりを伝える。後にジャズミン・サリヴァンに引用されるイーヴィ・サンズ“Take It Or Leave It”、EW&F“Reasons”、ティミ・ユーロで有名な“Hurt”の独自解釈もお見事。 *林

 

 

THE MANHATTANS It Feels So Good Columbia/Solid(1977)

リチャード・テイラーが脱退し、4人組となって初めてのアルバム。引き続きボビー・マーティンのプロデュースとなる本作も前作のイメージに沿ったバラード中心の内容で、ブルー・ラヴェットの語りから始まる“I Kinda Miss You”やジェラルドのサム・クック唱法が映える“We Never Danced To A Love Song”がヒットした。女声のハーモニーも加えている。 *林

 

 

THE MANHATTANS There's No Good In Goodbye Columbia/FTG(1978)

これまたボビー・マーティンの制作だが、録音はボビーが居を移した西海岸にて。フィリー流儀のスロウ“Am I Losing You”やビリー・ジョエル名曲を黒人視点で歌った“Everybody Has A Dream”がヒットしたが、白眉はテディ・ランダッツォ作の表題曲か。リーラ・ジェイムズに引用された“Then You Can Tell Me Goodbye”はカジノズ版を手本にしたはず。 *林

 

 

THE MANHATTANS Love Talk Columbia(1979)

現在入手が容易なのは『Black Tie』と2in1のエクスパンション盤のみのようなのでご注意を。この時期のフィリーで引く手数多だったジャック・フェイスとグループが主に共同プロデュースを手掛け、曲ごとにバート・デコトーらも参入。大きな転機を迎える直前の作品ながら、過渡期らしい試行錯誤も粋に乗りきっている。“Here Comes That Hurt Again”が小ヒット。  *出嶌

 

 

THE MANHATTANS After Midnight Columbia/FTG(1980)

キャリア屈指の名曲“Shining Star”を筆頭に、レオ・グラハムが手掛けたシカゴ・アーバンな前半のスロウ3連発からして絶品。ノーマン・ハリスの制作でカーニヴァル時代の楽曲をメドレーにしたスウィートな“If My Heart Could Speak/One Life To Live”、ランバート&ポッター制作の腰が浮き立つようなディスコ曲“It Couldn't Hurt”も最高だ。 *林

 

 

THE MANHATTANS Black Tie Columbia/FTG(1981)

前作での“Shining Star”のヒットを受けてレオ・グラハムが全面プロデュースした作品。アレンジは全編ジェイムズ・マックで、グラハムとポール・リッチモンドが書いた冒頭のスロウ“Just One Moment Away”からシカゴ流のアーバン・ソウルを聴かせる。ジェラルドの滑らかで熱い声が映えるデヴィッド・ハドソン“Honey, Honey”のカヴァーも極上だ。 *林

 

 

THE MANHATTANS Forever By Your Side Columbia/FTG(1983)

レオ・グラハムに加えてNYのマイティ・M・プロダクションが制作に名を連ね、生演奏とエレクトロニクスを融合したサウンドで新機軸を打ち出した意欲作。結果、アーバンなダンサー“Crazy”がヒットしたが、後にホイットニー・ヒューストンに歌われるサム・ディーズ作の“Just The Lonely Talking Again”など、グラハム色の強いスロウも名曲が揃う。 *林

 

 

THE MANHATTANS Too Hot To Stop It Columbia/FTG(1985)

客演したBJ・ネルソンとジェラルドとの男女デュエット“Don't Say No”での幕開けからグループ感の薄まりは顕著。時代への対応を図った局面ではいずれもジェラルドのコンテンポラリーな存在感が際立つのは皮肉かも。ただ、初期曲をアカペラでセルフ・カヴァーした“When We Are Made As One”やサム・クック“You Send Me”の伝統的な味わいも捨て難い。 *出嶌

 

 

REGINA BELLE All By Myself Columbia/FTG(1987)

もともとマンハッタンズの前座を務めたこともあるニュージャージー娘。前年には彼らの“Where Did We Go Wrong”に大フィーチャーされて脚光を浴び、結果的にヴェテランをセットアップに活用する格好に。そうでなくてもこの初作はニック・マルティネリによる佳作だが、ブルー・ラヴェットと共作した都会的なスロウ“Please Be Mine”がその価値をさらに高めている。 *出嶌

 

 

GERALD ALSTON Gerald Alston Motown(1988)

グループを離れてリリースしたソロ・デビュー作。当時台頭してきていたスタン・シェパード&ジミー・ヴァーナーバイ・オール・ミーンズ組による采配は、流行のサイクルが早まりはじめたアーバン・シーンにおもねらず、歌い手としてのシックな持ち味を最大限に活かしたコンテンポラリーなもの。90年代初頭に続いたソロ作はどれも素晴らしいので、ぜひ復刻を! *出嶌 

 

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