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アトランティック・スター周辺の名盤たち

ATLANTIC STARR 『Always:The Warner-Reprise Recordings』 SoulMusic/Solid(2021)

バーバラ・ウェザーズの最終作となった『All In The Name Of Love』(87年)をはじめ、ワーナー~リプリーズ時代の3タイトルをパックしたセット。女性リードがポーシャ・マーティンが参加した唯一のアルバムで、表題曲がデバージそのままな『We’re Movin’ Up』(89年)からは純情なバラード“My First Love”がR&B首位をマークした。女性リードがレイチェル・オリヴァーになった『Love Crazy』(91年)からは“Masterpiece”が全米3位というグループ最後の大ヒットが生まれている。いずれも都会的で洒落たノリが麗しい。 *出嶌

 

NEWBAN 『Newban / Newban 2: Deluxe Edition』 BBE(2012)

デューク・ジョーンズ率いる前身バンド(ルイス3兄弟からはジョナサンだけが参加)が77年にギネスから出した2枚のアルバムを含む編集盤。ホーン演奏に力点を置いたアーシーだがモダンなジャズ・ファンクはレア・グルーヴと称したくなるもので、大半の曲をドラマーのポーター・キャロルが歌っている。追加収録された73~74年録音の初期音源はスピリチュアル・ジャズ的な趣だ。 *林

 

ATLANTIC STARR 『Atlantic Starr』 A&M(1978)

初ヒット“Stand Up”を含む改名後のファースト。ボビー・イーライの制作で、ニューバンのジャズ・ファンクにフィリー・ソウル的な洗練を加えたようなモダンで快活な曲が登場する。筋肉質な声で歌うウェイン・ルイスやポーター・キャロルのリード曲が目立つが、シャロン・ブライアントの出番も増え、デヴィッドと歌うバラード“Keep It Comin’”ではブラコン時代の彼らを予感させる。 *林

 

ATLANTIC STARR 『Straight To The Point』 A&M(1979)

ふたたびボビー・イーライが制作したセカンド。“(Let’s) Rock ‘N’ Roll”を筆頭に、ダンサブルなアップで畳み掛ける華やかなディスコ・アルバムで、ダンス・ディーヴァ感を強めたシャロンのヴォーカルも際立つ。いまならアン・ルイス“恋のブギ・ウギ・トレイン”(79年)に通じる表題曲も話題か。イーライがメイジャー・ハリス感を持ち込んだ“Losin’ You”はA&M初期屈指のバラード。 *林

 

JACKIE MOORE 『I’m On My Way』 Columbia/BBR(1979)

ボビー・イーライが制作したフロリダのソウル・レディーによるコロムビア第1弾アルバム。オージェイズのカヴァー“This Time Baby”をはじめ半数近くをアトランティック・スターの面々が演奏しており、ディスコティークな内容の本作は、同年に出た『Straight To The Point』の姉妹盤とも言えそうだ。スウェイ・ビートの“Do Ya Got What It Takes”などにおけるタイトな演奏が彼ららしい。 *林

 

ATLANTIC STARR 『Radiant』 A&M(1980)

ジェイムズ・アンソニー・カーマイケルと新たに組み、後に繋がるグループ像を確立した3作目。メアリーJ・ブライジ曲にてシャロンの声を含めて引用されたダンサー“When Love Calls”など、サウンドやコーラスは格段にスマートになった。“Send For Me”と“Am I Dreaming”はサム・ディーズのペンによる必殺のスロウで、後者はオール・スクールとエクスケイプの名カヴァーも生まれた。 *林

 

LONNIE LISTON SMITH 『Love Is The Answer』 Columbia(1980)

クロスオーヴァーな諸作でネタ人気も高い鍵盤奏者がディスコに最接近したコロムビア時代の最終作。後にチェンジ入りするジェイムズ・ロビンソンの歌唱も熱いが、それをパキッと盛り上げるホーンズにはアトランティック・スターからデューク・ジョーンズとジョナサン・ルイス、コラン・ダニエルズが参加。なお、ジョナサンは後にデュークのソロ作をプロデュースするなど縁は続いた。 *出嶌