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BY ALL MEANS 『By All Means』 Island/ユニバーサル(1988)

レトロ・ヌーヴォーな魅力を凝縮した初ヒット“I Surrender To Your Love”を含むデビュー盤。元レイディオのチャールズ・フィアリング(ギター)らも起用し、生音のグルーヴを活かしつつデジタイズしたアップにも挑んだ快作だ。ジェラルド・アルブライトのサックスが都会の夜を演出する珠玉のスロウ・ジャム“Slow Jam (Can I Have This Dance With You)”を収録。 *林

 

BERT ROBINSON 『No More Cold Night』 Capitol/Expansion(1987)

バイ・オール・ミーンズ直前にスタン・シェパードらが2曲をプロデュース。その猛烈な打ち込みファンク“Won’t You Be My Lady”“Tough Enough”におけるテディ・ペンダーグラスそっくりな主役のエネルギッシュで野生的なバリトン・ヴォイスはジミー・ヴァーナーの如し。ジミーとビリー・シェパードも鍵盤やコーラスで参加した本作はバイ・オール・ミーンズの雛型と言えるプロジェクトだった。 *林

 

SKOOL BOYZ 『Skool Boyz』 Destiny(1981)

スタン・シェパードが弟のビリーを引き連れ、フレイヴァを再編したグループ。この後コロムビアから2枚のアルバムを出す彼らの初作で、コン・ファンク・シャンに通じる開放感のあるタイトなファンクとメロウなスロウをほぼ交互に放っていく。バイ・オール・ミーンズに繋がる要素は、ドン・マイリックのサックスがムーディーな“This Feeling Must Be Real”などのスロウに滲んでいる。 *林

 

BY ALL MEANS 『Beyond A Dream』 Island/ユニバーサル(1989)

スタン&ジミーによる制作体制は変わらないものの、メンバー3名での共作曲も増えたセカンド・アルバム。熱っぽいジミーの歌唱とスマートなコーラスが夜帯のムードを醸成し、“Do You Remember”などのスロウも“Early Fall”などの都会的なアップも実に薫り高い。レトロ・ヌーヴォーを体現したマーヴィン・ゲイの軽妙なカヴァー“Let’s Get It On”がR&Bチャート3位のヒットを記録。 *出嶌

 

GERALD ALSTON 『Gerald Alston』 Motown(1988)

マンハッタンズのリード歌手がソロでモータウンに残した3枚の傑作にはいずれもスタン&ジミーのコンビが深く関与。なかでも全曲をプロデュースしたこの初作は、ヒットした“Take Me Where You Want To”、後にマンハッタンズでも再録される“Let’s Try Love Again”など紳士的なスロウ~ミッドが絶品だ。代表曲“Slow Motion”を生んだ次作『Open Invitation』(90年)も極上。 *出嶌

 

WILL DOWNING 『Come Together As One』 Island(1989)

バイ・オール・ミーンズの活動期間に重なってブラウンマークやトロイ・ヒントンなど数多くのプロデュース仕事を手掛けたスタン&ジミーのコンビだが、こちらのウィル・ダウニングの2作目ではジミー単独で“Love Call”を主役と共同プロデュース。包容力のある温かい歌声が映える都会的なアップ・ナンバーを仕立てている。バック・ヴォーカルにはリン・ロデリックも参加。  *出嶌

 

ELLE VARNER 『Ellevation』 eOne/ビクター(2019)

ジミーとリンの娘、つまりバイ・オール・ミーンズの血を分けたサラブレッド。デビュー作に手を貸した父ジミーが演奏も含めて全面的に援護し、親子で共同制作もした公式セカンドだ。エル本人がギターを弾いたアコースティックな“Number One Song”と“Loving U Blind”は父娘の二人三脚感が強い。“Be Encouraged”ではエルの素朴さとBAM的アーバニズムの不思議な合体が味わえる。 *林