その例を細かく挙げていけばページがビッシリ埋まってしまいそうなほど、リオンの創造したグルーヴやメロディー、そして声はもうあちこちから途絶えることなく聴こえてくる。そうしたリサイクル状況は、例えばGユニットが初作にリオン仕込みのメロウな2曲をブチ込んできた時代から変わらないが、ここ数年での顕著な変化はリオンのソロ録音が支持されていることだろう。最初の『The Odd Future Tape』(2007年)でタイラーが“What’s Your Name”をベタ使いし、ファショーン(次のアルバムには“Why I Came To California”ネタも仕込まれている)やマッドリブ、ター・クーらによって“What’s Your World”が定番化。カヴァーも多い“Rockin’ You Eternally”はオリオルの“LW”にて切り刻まれていたりもした。まあ、ディグの意味合いが変わり、数秒聴くだけで心地良いとわかるリオン曲の特質がいろんな意味で見つかりやすくなっただけなのだろうが。
もちろん従来通りの多様な引用やカヴァーも、シャリークやデライラ、ソンゼイラらが記憶に新しいが、そうして本人にもスポットが当たるようになった結果、現役のリオン自身と直接コラボするという流れが現在にまで至って増えているというわけだ。自身の“Rockin’ You Eternally” を歌ったジャザノヴァを筆頭に、ジョヴァンカ、2度目のケブ・モ、インコグニート、マリオ・ビオンディ……と後進との共演は定期的に届けられている。Hanah Springへの書き下ろしや、リオンを敬愛するセオフィラス・ロンドンとの共演など、その存在を求める声はまだ止まないだろう。
▼関連作品
左から、Gユニットの2003年作『Beg For Mercy』(G Unit/Interscope)、2011年のコンピ『Jet World Order』(Jets International)、ター・クーの編集盤『50 Days For Dilla』(Pヴァイン)、オリオルの2010年作『Night And Day』(Planet Mu)、シャリークの2014年作『Blood Sweat Tears』(Pendulum)、デライラの2012年作『From The Roots Up』(Warner UK)、ソンゼイラの2014年作『Brasil Bam Bam Bam』(Talkin’ Loud)、ジャザノヴァの2008年作『Of All The Things』(Verve)、ジョヴァンカの2010年作『While I’m Awake』(Dox)、ケブ・モの2011年作『The Reflection』(Yolabelle)、インコグニートの2010年作『Transatlantic R.P.M.』(Shanachie)、マリオ・ビオンディの2013年作『Sun』(Sony Italy)、デコーダーズの2013年作『Lovers & Dub Classics』(Apres-midi)、グイーダ・デ・パルマ&ジャジーニョの2013年作『Veludo』(Pヴァイン)、Hanah Springの2014年作『Handmade Soul』(Pirates)、セオフィラス・ロンドンの2014年作『Vibes!』(Warner Bros.)
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