コラム

途絶えることないリサイクル、インコグニートら後進との共演―リオン・ウェア自身に注目が集まった2000年代以降

【IN THE SHADOW OF SOUL:ソウル・ミュージックの光と影(連載)】[第78回]永遠のリオン・ウェア Part.5

途絶えることないリサイクル、インコグニートら後進との共演―リオン・ウェア自身に注目が集まった2000年代以降

 その例を細かく挙げていけばページがビッシリ埋まってしまいそうなほど、リオンの創造したグルーヴやメロディー、そして声はもうあちこちから途絶えることなく聴こえてくる。そうしたリサイクル状況は、例えばGユニットが初作にリオン仕込みのメロウな2曲をブチ込んできた時代から変わらないが、ここ数年での顕著な変化はリオンのソロ録音が支持されていることだろう。最初の『The Odd Future Tape』(2007年)でタイラーが“What's Your Name”をベタ使いし、ファショーン(次のアルバムには“Why I Came To California”ネタも仕込まれている)やマッドリブター・クーらによって“What's Your World”が定番化。カヴァーも多い“Rockin' You Eternally”はオリオルの“LW”にて切り刻まれていたりもした。まあ、ディグの意味合いが変わり、数秒聴くだけで心地良いとわかるリオン曲の特質がいろんな意味で見つかりやすくなっただけなのだろうが。

【参考動画】リオン・ウェアの79年作『Inside In Love』収録曲“What's Your Name”
【参考動画】リオン・ウェアの72年作『Leon Ware』収録曲“What's Your World”

 

 もちろん従来通りの多様な引用やカヴァーも、シャリークデライラソンゼイラらが記憶に新しいが、そうして本人にもスポットが当たるようになった結果、現役のリオン自身と直接コラボするという流れが現在にまで至って増えているというわけだ。自身の“Rockin' You Eternally” を歌ったジャザノヴァを筆頭に、ジョヴァンカ、2度目のケブ・モインコグニートマリオ・ビオンディ……と後進との共演は定期的に届けられている。Hanah Springへの書き下ろしや、リオンを敬愛するセオフィラス・ロンドンとの共演など、その存在を求める声はまだ止まないだろう。

【参考動画】セオフィラス・ロンドンの2014年作『Vibes!』収録曲でリオン・ウェアが参加した“Water Me”

 

 

▼関連作品

左から、Gユニットの2003年作『Beg For Mercy』(G Unit/Interscope)、2011年のコンピ『Jet World Order』(Jets International)、ター・クーの編集盤『50 Days For Dilla』(Pヴァイン)、オリオルの2010年作『Night And Day』(Planet Mu)、シャリークの2014年作『Blood Sweat Tears』(Pendulum)、デライラの2012年作『From The Roots Up』(Warner UK)、ソンゼイラの2014年作『Brasil Bam Bam Bam』(Talkin' Loud)、ジャザノヴァの2008年作『Of All The Things』(Verve)、ジョヴァンカの2010年作『While I'm Awake』(Dox)、ケブ・モの2011年作『The Reflection』(Yolabelle)、インコグニートの2010年作『Transatlantic R.P.M.』(Shanachie)、マリオ・ビオンディの2013年作『Sun』(Sony Italy)、デコーダーズの2013年作『Lovers & Dub Classics』(Apres-midi)、グイーダ・デ・パルマ&ジャジーニョの2013年作『Veludo』(Pヴァイン)、Hanah Springの2014年作『Handmade Soul』(Pirates)、セオフィラス・ロンドンの2014年作『Vibes!』(Warner Bros.)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

 

Part.1:リオン・ウェアの無二な音世界―ソウル・ミュージックの裏街道歩むレジェンドの〈偉大なるマンネリ〉が再評価され続ける理由

Part.2:世界はリオン・ウェアに包まれている(前編)―自身の作品からMJ、マーヴィン・ゲイまで、リオンの仕事を振り返る

Part.3:世界はリオン・ウェアに包まれている(後編)―マルコス・ヴァーリやボビー・ウーマックらリオンの仕事を振り返る

Part.4:オマーらUK勢からのラヴコール、USで求められた70sソウルの精神性―90s以降のリオン・ウェア再評価の背景

Part.6:サンダーキャットらLA人脈が参加、リオン・ウェアの新作『Sigh』での艶やかな手捌きに見る、不変の作法

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