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ワン・ウェイとADK軍団の名作たち!

AL HUDSON & THE SOUL PARTNERS The Atco Years Expansion(2015)

ワン・ウェイの母体という位置付けになるグループが75~76年にアトコから出したシングルの編集盤。ジミー・ローチやブラウン兄弟が関与したモダンな楽曲はヴォーカル・グループを思わせるもので、パトリック・アダムスがアレンジした“When You're Gone”はフィリー・ソウルの影響下にある。オーティス・レディング曲カヴァーにはアルのディープなルーツが覗く。 *林

 

AL HUDSON & THE SOUL PARTNERS Especially For You/Cherish Expansion(2019)

移籍したABCから77年に発表した2作品の2in1。初のアルバムとなる『Especially For You』は、感傷的なモーリス・アルバート“Feelings”やサム&デイヴのカヴァーを収め、ディスコ時代を睨んだ“If You Feel Like Dancin'”も交えつつアトコ時代を継承するヴォーカル・グループ然とした内容。スロウに円熟味を増した2作目『Cherish』ではギャリー・グレンのアレンジした表題曲が光る。 *出嶌

 

AL HUDSON & THE SOUL PARTNERS Spreading Love/Happy Feet Expansion(2019)

当時新鋭のギャリー・グレンを制作に本格起用した78年作と、アリシアを迎えた新生パートナーズによる79年作の2in1。前者はデヴィッド・ヴァン・デ・ピットの管弦アレンジで洗練されたディスコ/ファンクを聴かせる。ブレイク曲“You Can Do It”を含む後者は、セシル・ウーマック製のダンサブルな表題曲からアリシアが歌うピーボ・ブライソン作のスロウまでフィリーの影響が滲む快作だ。 *林

 

ONE WAY FEATURING AL HUDSON One Way Featuring Al Hudson MCA/Purpose(1979)

グループ名に〈ワン・ウェイ〉という言葉を刻んで出した最初のアルバム。パートナーズ時代の“You Can Do It”を長尺ヴァージョンで収録するなどディスコっぽさは残るが、“Music”のようなダンサブルな曲でも音が整理されてスマートになった印象を受ける。シンセの音色を活かしたモダンでスムースなミディアム・ダンサー“I Am Under Your Spell”は隠れた名曲。 *林

 

ONE WAY FEATURING AL HUDSON One Way Featuring Al Hudson MCA/PTG(1980)

前年作と同じタイトルで発表されたまぎらわしい一枚で、中身も前作で確立された持ち味をそのまま強固に鍛えた佳作に。ケヴィン・マッコード主導の小気味良いアーバン・ダンサーが増え、彼とアルのペンによる粘っこい長尺ファンク“Pop It”がヒットした。一方でアダルトな雰囲気のスロウ“Something In The Past”などもあって、楽曲の幅もスマートに広がっている。 *出嶌

 

ONE WAY Love Is... One Way MCA/PTG(1981)

女性リードがキャンディ(ス)・エドワーズに交代し、シンプルにワン・ウェイと名乗って出した1作目。旧知のエンジニア、リチャード・ベッカーと制作を分け合い、直後にADKを立ち上げる3人のメンバーが実権を握りはじめた。従来通り快活なダンス・ナンバーやスウィートなバラードもあるが、ケヴィン・マッコード作のエレクトロ・ファンク“Push”で新境地を切り拓いた。 *林

 

ALICIA MYERS Alicia / Alicia Again SoulMusic(2012)

ソロ転向したアリシアの初期2作(いずれも81年発表)をまとめた2in1。ケヴィン・マッコード全面援護の初作『Alicia』はバンドの別プロジェクトといった趣で、ここからミディアム・ダンサー“I Want To Thank You”とスロウ・ジャム“If You Play Your Cards Right”の2大名曲が誕生した。アル・パーキンスや実兄ジャッキーが関与した2作目『Alicia Again』ではディスコに再挑戦も。 *林

 

ONE WAY Who's Foolin' Who MCA(1982)

ワン・ウェイの代名詞的な一曲となったナスティーなファンク“Cutie Pie”を収録した名盤。ファンクではエレクトロニクスを採り入れ、表題曲などではコーラス・グループ的な粋を見せ、スロウ・バラードではスウィートに迫るという、パートナーズ時代からのキャリアを総括したような多彩かつ一貫性のある内容だ。アイリーン・パーキンスと組んだADKチームの流儀を刻印。 *林

 

OLIVER CHEATHAM The Boss MCA/ユニバーサル(1982)

同郷デトロイトのオリヴァー・チータムによる実質的なソロ・デビュー・アルバムをADKがメインでプロデュース。軽快かつ力強い演奏もワン・ウェイが担当しているはずで、ブギーな“Everybody Wants To Be The Boss”を筆頭に、ファルセットを交えた強靭な喉で縦横無尽に歌うチータムに惚れ惚れする快作だ。ライオネル・リッチー作のケニー・ロジャース名曲“Lady”もカヴァー。 *林

 

ONE WAY Wild Night MCA/ユニバーサル(1982)

『Who's Foolin' Who』の好調を受けて制作された、この年2枚目のアルバム。きっちり交互に登場してくるファンクとスロウで硬軟自在な表情を見せ、小気味良いホーンに同時代のNYサウンドも薫るアーバンな表題曲での幕開けから、どの曲も完成度がやたら高い。ケヴィン主導と思しきクールで硬質なエレクトロ・ファンク“Don't Fight The Feeling”と“Can I”も異彩を放っている。 *出嶌

 

OLIVER CHEATHAM Saturday Night MCA/PTG(1983)

ADKの全面プロデュースとなった2作目。ワン・ウェイのプレイヤー陣が同年作『Shine On Me』に近い編成で結集したほか、RJ'sレイテスト・アライヴァルのクレイグ・レーンも鍵盤やソングライトに助力し、洒脱なグルーヴをタイトに盛り上げる。ケヴィン・マッコード主導のディスコ・ヒット“Get Down Saturday Night”は後年に何度もリヴァイヴァルする問答無用の週末アンセムに。 *出嶌

 

ONE WAY Lady MCA/ユニバーサル(1984)

ADK制作ではなくケヴィンが単独でプロデュース・クレジットを得たアルバム。ADK共作のマイルドなラヴソング“Lady You Are”はチャート5位のヒットとなったが、ヴォコーダーの導く“Mr. Groove”などケヴィンのソリッドなサウンド志向がかつてなく前に出た印象だ。キャンディス・エドワーズの実質的なソロ曲“I'll Make It Up To You”もあり、彼女とケヴィンは本作を最後に独立。 *出嶌

 

ONE WAY Wrap Your Body MCA/Vinyl Masterpiece(1985)

ケヴィン・マッコードが脱退して初めてのアルバム。AD体制になったが、近年マーク・ロンソン“Uptown Funk”の着想源として注目を浴びたミネアポリス・ファンク風の“Let's Talk”を筆頭にシャープなファンクが勢いよく飛び出す。男女デュエットによるアーバンなミディアム・スロウも快演で、バラードでは同郷のリッジウェイ・シスターズもコーラスでムードを醸成。 *林

 

BERT ROBINSON No More Cold Night Capitol/Expansion(1987)

テディ・ペンダーグラス・フォロワーなデトロイトのシンガーによるファースト・アルバムにて、アルとデイヴ、アイリーン・パーキンスのワン・ウェイ一派が4曲をプロデュース。打ち込みのファンク系アップとクワイエット・ストームなスロウという対照的な曲を提供し、主役の深く野生的なバリトン・ヴォイスを自由に泳がせる音空間の生み出し方は、当時のワン・ウェイそのものだ。 *林

 

BERT ROBINSON I Promise You Love Capitol/Expansion(1989)

アイリーン・パーキンスが後見するシンガーの2作目では、同じキャピトルに移籍したワン・ウェイの『A New Beginning』(88年)も踏まえ、アル&デイヴとヴァルデス・ブラントリーのADV組が3曲をプロデュース。雄々しいアップ“I Promise You Love”などは同時期のアレクサンダー・オニールを連想させる攻め具合で、紳士的なスロウも良好だ。非NJS的なレイト80sの妙味が楽しめる佳作。 *出嶌