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ホットでディープな名盤たちを紹介!

JOHN EDWARDS 『John Edwards』 Aware/OCTAVE(1973)

70年代後半からスピナーズに加入するセントルイス出身のシンガーがアウェアから放ったアトランタ録音のファースト・アルバム。名匠フロイド・スミスの制作で、語りっぽい歌い口の“Careful Man”をはじめ、ビル・ブランドンやサム・ディーズ、ジェイムス・フェルプスで知られる曲も交え、裏声やシャウトを駆使しながら熱く歌い込んでいく。ウィルソン・ピケットのバラード“It's Groove”におけるディープな歌唱も素晴らしい。 *林

 

LOLEATTA HOLLOWAY 『Loleatta』 Aware/OCTAVE(1973)

後のサルソウル盤で有名なシカゴ出身のソウル・ディーヴァが、プロデュースを手掛ける夫のフロイド・スミスとアトランタに乗り込んで録音したアウェアでの初作。タイロン・デイヴィスやシル・ジョンソンの曲を取り上げるなどシカゴの雰囲気も引きずっているが、ビリー・ホリデイで有名なガーシュイン作のスタンダードやサム・ディーズ作のバラードをスケールの大きい声で歌う。ゴスペルのルーツも覗かせる、気品漂うアルバムだ。 *林

 

JIMMY LEWIS 『Totally Involved』 Hotlanta/OCTAVE(1974)

ミシシッピ出身でLAを拠点に活動していたシンガーが、レイ・チャールズ主宰のタンジェリンやヴォルトなどを経てホットランタから発表した本人制作のファースト・アルバム。オーティス・レディングやサム・クックの唱法を真似た荒くディープな声でサザン・ソウル然とした曲を歌うが、デヴィッドT・ウォーカーやウィルトン・フェルダーら西海岸の名手による演奏がモダンなフィーリングを運び込む。初っ端のバラードから名曲。 *林

 

LOLEATTA HOLLOWAY 『Cry To Me』 Aware/OCTAVE(1975)

アウェアでの2作目。こちらも夫フロイドの制作でジーン・チャンドラーのシカゴ・ソウルを歌っているが、5曲がサム・ディーズの作となり、サザン・ソウル感が強調されている。白眉は近年デメトリア・マッキニー(アトランタで活動)が引用した表題曲。イントロの語りも含め、これほど〈情感豊かな〉という表現が似合うバラードもそうはない。メッセージ色の強いファンク、ルビー・アンドリュース曲のカヴァーなども快唱。 *林

 

GASTON 『My Queen』 Hotlanta/OCTAVE(1978)

地元ノースキャロライナ州ガストニアに由来する名前を冠したヴォーカル&インスト・グループ。ナッシュヴィルのホットシティを経てGRC閉鎖後のホットランタから発表した初のアルバムで、オハイオ・プレイヤーズの影響が窺えるメロウ&スペイシーな音を採り入れた洒脱なファンクを展開している。アトランタ出身のヴァージニア・ガスキンスの女声リードで歌われる美しいスロウをLP各面の最後で聴かせる流れも絶妙だ。 *林

 

VARIOUS ARTISTS 『Bill Haney Presents Atlanta Soul』 OCTAVE(2021)

今回のGMG系リイシューに合わせて、ソウル・ミュージック評論家の鈴木啓志が編纂したコンピ。60年代のアトランタでビル・ヘイニーが運営したレーベル、チャントの音源を軸に、ビルが70年代初頭にかけて送り出した他レーベル発の楽曲も加えられている。ジョー・グラハムやランドルフ・ウォーカー、ボビー・バーンらの人気曲はもちろん、エキサイティングな歌心に溢れたサザン・ローカルの深い味わいが気軽に楽しめる一枚だ。 *出嶌

 

VARIOUS ARTISTS 『Sam Dees Presents Great Talents』 OCTAVE(2021)

こちらもGMGの所有するホットランタやアウェア、クリントーンの音源を用いたコンピ。ソングライターとして名高いサム・ディーズのペンによる10曲を、それぞれサム自身の歌唱ヴァージョンと他アーティストによる録音で交互に収めた全20曲というユニークな企画盤だ。ロリータ・ハロウェイ“Cry To Me”をはじめ、ジョン・エドワーズやビル・ブランドン、ロゼッタ・ジョンソンらの名唱を作者ならでは(?)の解釈と聴き比べることができる。 *出嶌