3. J Dilla『Donuts』by Orono

J DILLA 『Donuts』 Stones Throw(2006)

オロノ「初めて聴いたのは2年前くらい前。親友に薦められて聴き始めたんです。

このコロナ禍の間、アルバムのアートワークを3年ぐらいかけてずっと作ってて。朝起きて夜寝るまでずっと絵を描いてたんですけど、そのときこれをずっと聴いてました。サンプリングの教本というか、すごく衝撃的で素晴らしいなと思いました」

J・ディラの2006年作『Donuts』収録曲“Last Donut Of The Night”

ハリー「このアルバムを作ってるとき、ディラはもうすごく体調が悪くなっていたんだよね」

オロノ「死ぬ直前に作っていたというアルバムのバックストーリーもすごく興味深いし、周りの友達もすごく好きで、カセットまで買ってる子もいました」

──そういえば、さっきカセットのコーナーも2人で見てましたね。

オロノ「何で今こんなにカセットが人気なんだろうと思って見てました。〈高いな〉とか言いながら(笑)」

ハリー「カセットは最高だよ。ティーンの頃はカーステでカセットが聴けた。今カセットにハマってる友達もいるけど、僕にとっては昔のいい思い出っていう印象が強いね」

オロノ「さっきテイラー・スウィフトのカセットもあったよね」

ハリー「あったあった(笑)」

 

4. Pulp『Different Class』by Harry

PULP 『Different Class』 Island(1995)

ハリー「僕はブリットポップが大好きなんだ。90年代のUKでは、そこらじゅうすべてがブリットポップだった。僕があの時代を過ごしたイギリス北部は、オアシスが強いテリトリーだったんだけどね(笑)。でも、僕にとってはパルプのこのアルバムこそあの時代のベストレコードなんだ」

パルプの95年作『Different Class』収録曲“Common People”

──オアシスよりもパルプを選ぶっていう気持ち、なんとなくわかります。

ハリー「このアルバムは最初から最後まで、彼らの奇抜さ(excentricity)が貫かれている。ジャーヴィス・コッカーは本当に偉大な才能の持ち主だよ。歌い方は変わってるけどね(笑)。“Common People”“Disco 2000”“Mis-Shapes”“Sorted For E’s & Wizz”、いい曲ばっかり。ある時期のブリティッシュミュージックのドキュメンタリーのようにも感じる。ジャケットも最高じゃないか」

 

5. Grandaddy『He’s Simple, He’s Dumb, He’s The Pilot』by Orono

オロノ「グランダディも新作のジャケットアートを描いてるときにずっと聴いてました。ハリーが紹介してくれたんです」

ハリー「オロノが好きそうだと思ったから薦めたんだよ(笑)。単純にすごくいいインディーロックだよね。すごくグッドメロディーにクールな歌詞があって。それが薦めた理由」

グランダディの2000年作『The Sophtware Slump』収録曲“The Sophtware Slump”

オロノ「グランダディをずっと聴いてた頃に、ちょうどバンドの新曲として“On & On”も作っていて。〈グランダディっぽい曲やろうぜ〉ってみんなで言ってたんですね。グランダディは自分の好きなバンド、トップ10に入るくらい大好きです。私はコンセプトアルバムとかがすごく好きで、こいつらもコンセプトアルバムがすごい得意。だから、“On & On”だけじゃなく全体的にすごくインスパイアされてます」

『World Wide Pop』収録曲“On & On”

 

6. Kacey Musgraves『Golden Hour』by Harry

KACEY MUSGRAVES 『Golden Hour』 MCA Nashville(2018)

──ケイシー・マスグレイヴス! 意外な印象ですけど、このアルバムはインディーロックのファンも聴いていた記憶があります。

ハリー「グラミーを獲ったアルバムだって知ってたけど、最初に聴いた印象は〈退屈だな〉だった(笑)。でも、ある年の夏に聴いていたら完璧にハマってしまったんだ。その夏はずっとこれを聴いてた。サウンドは普通っぽいんだけどムードはひんやりしていて、夏のレコードとして素晴らしい」

オロノ「それって2019年の夏じゃない? 私もこのレコードで同じような体験をしたから。最初はピンとこなかったけど、どんどんよくなっていった」

ケイシー・マスグレイヴスの2018年作『Golden Hour』収録曲“High Horse”

ハリー「このレコードで、母がノラ・ジョーンズのファーストを20年くらい前によく聴いてたことを僕は思い出した。どことどこが似てるみたいな比較じゃなくて、どちらもすごくやさしい響きのポップソングなんだ。ノスタルジーで聴いたわけじゃないんだけど、2002年の夏のノラ・ジョーンズのことを思い出したな」

オロノ「バンドのみんなもこのアルバムを好きで、よく聴いてました」

 

7. Parquet Courts『Sympathy For Life』by Orono

PARQUET COURTS 『Sympathy For Life』 Rough Trade/BEAT(2021)

オロノ「高校生の頃、親友がパーケイ・コーツのタトゥーも入れてるくらい大好きだったんです。

パーケイ・コーツは歌詞もいいし、音もいいし、バンドとしても好きなんですけど、私はメンバーのアンドリュー・サヴェージが描いてるアートワークがすごい好き。バンドのメンバーであると同時にアートワークもすごい凝ってやってるということに、自分も共感する部分がすごくある。メンバーがアートワークを担当することで裏ジャケまでちゃんとデザインされてるし、そういうこだわりが自分はすごく重要だと思ってるので。いつか彼に会って話をいろいろ訊いてみたいです」

パーケイ・コーツの2021年作『Sympathy For Life』収録曲“Walking At A Downtown Pace”

──そういうデザイン性を大きなサイズで実感できるのも、アナログレコードの魅力ですもんね。

ハリー「そうだね。僕は形があるものが好きだし、単に音楽を消費するんじゃなく、アートワークの大きさなどレコードのサイズでわかってもらえることを大事にしたい。この数年、僕らは新しいアルバムに取り組んできたけど、オロノが担当するアートワークがとても大事な要素だったんだ。アートワークは人をぐっと音楽に近づける方法だと思ってる。それに、新しいアルバムが出て、それをターンテーブルに乗せて、レコードから直に出てくる音を聴くのは儀式みたいなもの。僕はその過程が好きなんだ」

──A面が終わって、盤をひっくり返すとか。

ハリー「そうそう。アルバムを作るときに全体の流れを考えるけど、頭のなかのサウンドシステムで〈この曲でA面が終わる〉とか考えるようにしてる。頭のなかでアナログレコードを制作してるような感じなんだ。フランツ・フェルディナンドのアレックス(・カプラノス)と話したとき、彼もまったく同じように考えていたし、そういうミュージシャンは今もたくさんいると思う」

 


RELEASE INFORMATION

SUPERORGANISM 『World Wide Pop』 Domino/BEAT(2022)

リリース日:2022年7月15日

■国内盤CD
品番:BRC699
価格:2,420円(税込)
解説+歌詞対訳冊子/ボーナストラック追加収録

■国内盤CD+Tシャツセット
品番:BRC699T
価格:6,820円(税込)

■帯付限定輸入盤1LP(ゴールドヴァイナル)
品番:WIGLP448XBR
価格:4,390円(税込)

■帯付限定輸入盤1LP(ゴールドヴァイナル)+Tシャツセット
品番:WIGLP448XBRT
価格:9,290円(税込)

TRACKLISTING
01. Black Hole Baby
02. World Wide Pop
03. On & On
04. Teenager (feat. CHAI & Pi Ja Ma)
05. It’s Raining (feat. Stephen Malkmus & Dylan Cartlidge)
06. Flying
07. Solar System (feat. CHAI & Boa Constrictors)
08. Into The Sun (feat. Gen Hoshino, Stephen Malkmus & Pi Ja Ma)
09. Put Down Your Phone
10. crushed.zip
11. Oh Come On
12. Don’t Let The Colony Collapse
13. Everything Falls Apart

Bonus Tracks
14. Black Hole Baby (ME-GUMI Cover)
15. crushed.zip (mabanua Remix)

 

LIVE INFORMATION
SUPERORGANISM
WORLD WIDE POP TOUR

2023年1月13日(金)東京・台場 Zepp DiverCity (TOKYO)
開場/開演:18:00/19:00
前売り:7,000円(1Fスタンディング・2F立ち見)/7,500円(2F指定席) ※ドリンク代別
お問い合わせ(SMASH):03-3444-6751

2023年1月15日(日)大阪・なんば Hatch
開場/開演:17:00/18:00 
前売り:7,000円(1Fスタンディング)/7,500円(2F指定席) ※ドリンク代別
お問い合わせ(SMASH WEST):06-6535-5569

2023年1月16日(月)愛知・名古屋 DIAMOND HALL
開場/開演:18:00/19:00 
前売り:7,000円(スタンディング) ※ドリンク代別
お問い合わせ(JAIL HOUSE):052-936-6041

2023年1月17日(火)広島 HIROSHIMA CLUB QUATTRO
開場/開演:18:00/19:00 
前売り:7,000円(スタンディング) ※ドリンク代別
お問い合わせ(クラブクアトロ):082-542-2280

1月18日(水)福岡 DRUM LOGOS
開場/開演:18:00/19:00 
前売り:7,000(スタンディング) ※ドリンク代別
お問い合わせ(BEA):092-712-4221

※未就学児童は入場不可、小学生以上はチケットご購入が必要です
※購入時に個人情報の登録が必要となります

■一般発売
2022年9月10日(土)10:00発売
東京公演:e+/チケットぴあ(P:225-024)/ローソン(L:72278)
大阪公演:e+/チケットぴあ(P:224-982)/ローソン(L:52335)
名古屋公演:e+/チケットぴあ(P:224-927)/ローソン(L:43051)
広島公演:e+/チケットぴあ(P:224-908)/ローソン(L:63468)
福岡公演:e+/チケットぴあ(P:225-314)/ローソン(L:81446)