スタックスにおけるH=D=Hでありギャンブル&ハフ、もしくはソウル界のバカラック&デヴィッドとでも言うべきアイザック・ヘイズとデヴィッド・ポーター。ふたりがソングライター・チームとしてペンを執った楽曲はスタックスを代表する名曲ばかり……というより、65~67年の同社を黄金期たらしめたのが彼らだった。
コンビの仕事でもっとも有名なのは、“Hold On, I’m Comin’”“You Got Me Hummin’”“Soul Man”“I Thank You”など、サム&デイヴの一連のヒットだろう。これらは当時北部で人気だったダンス・サウンド〈ジャーク〉を手本に書かれたファンキーな曲で、この作法はカーラ・トーマスの“B-A-B-Y”にも応用された。また、サム&デイヴといえば“When Something Is Wrong With My Baby”もコンビの作で、彼らはジョニー・テイラーのスタックス・デビュー曲“I Had A Dream”、メイブル・ジョンの“Your Good Thing(Is About To End)”のようなブルージーなスロウでも手腕を発揮。この頃ヘイズは鍵盤奏者やアレンジャーとしてオーティス・レディングにも関わり、65年にはサー・アイザック&ザ・ドゥダッズというグループで“Blue Groove”というインスト曲も発表している。アトランティックとの関係を絶ったスタックスでは、ソウル・チルドレン、エモーションズそれぞれの同社初シングルもヘイズ&ポーターの作だった。
相棒のポーターは、65年にスタックスからシングルを出していたが、ヘイズに続いてエンタープライズから70年に『Gritty, Groovy & Getting’ It』でアルバム・デビュー(計4作を発表)。72年にはヘイズとサム&デイヴを気取ったようなデュエット曲“Ain’t That Loiving You (For More Reasons Than One)”も出し、ヘイズとは対照的なソウル・シンガー然とした熱い歌を聴かせていた。