連載

【IN THE SHADOW OF SOUL】第127回 栄光のドン・ブライアント(Don Bryant)

連載:ソウル・ミュージックの光と影

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ESSENTIALS
ドン・ブライアントの作品と関連作

DON BRYANT 『Memphis Sounds Original Collection Vol.3』 ロンドン/Solid(1975)

ハイが全盛期を迎える前に出した10枚のシングルA/B面から、その大半を収めた60年代の作品集。新作で再演している“Don't Turn Back On Me”や“I'll Go Crazy”といった人気曲をはじめ、オーティス・レディングに通じるバラード“I'll Do The Best”やサム&デイヴ風のアップ“Coming On Strong”など、同時代のスタックスに迫る無骨なナンバーを力強くディープに歌っていく。ミラクルズ“Shop Around”のメンフィス・ソウル解釈も見事だ。

 

DON BRYANT 『Precious Soul』 Hi/Solid(1969)

60年代の男性ソウル・アーティストによる珠玉の名曲をカヴァーした、ハイで唯一のオリジナル・アルバム。ウィルソン・ピケットやサム&デイヴでお馴染みの曲を複数取り上げているように、豪快なハード・シャウターの系譜にあること示す内容で、タイロン・デイヴィスやマーヴィン・ゲイ、ソウル・サヴァイヴァーズ、クラレンス・カーターのミディアムを力強く歌い倒し、JBやインプレッションズ、ガーネット・ミムスなどの名バラードをディープに熱唱している。

 

OTIS CLAY 『Trying To Live My Life Without You』 Hi/Solid(1972)

ハイにおけるハード・シャウターの座をドンから受け継いだオーティス。その初作にドンは“I Die A Little Each Day”を書き下ろしている。ハイ・リズムの分厚くゆったりとしたグルーヴに優しくも力強いヴォーカルを乗せていくスロウ・バラードで、『Live!』としてアルバム化された78年の来日公演でも最後に歌われたほどの名曲だった。ドンも新作でセルフ・カヴァー。

 

ハイが誇るレディー・ソウルの4作目。10曲中7曲にドンが共作者として名を連ね、前年にヒットした表題曲(後にイラプションやティナ・ターナーもカヴァー)はドンのソングライターとしての代表作と言っていいだろう。しみじみ歌われる“Until You Came Into My Life”のようなスロウ・バラードも彼の名匠ぶりを伝える。この年にドンとアンは結婚し、人生の伴侶となった。

 

DON BRYANT 『Don't Give Up On Love』 Fat Possum(2017)

48年ぶりの復帰作。過去にドンの曲も歌っていたOV・ライトの名曲“A Nickel And A Nail”のカヴァーからスタートし、ドンと共作しているスコット・ボマー率いるボーキーズがメンフィス・ソウルの黄金時代に連れ戻す。エレガントなバラードの表題曲は、70年代のハイでドンが歌っていたら……と想像させる。“Can't Hide The Hurt”のセルフ・カヴァーも収録。絶好調の喉に驚く。

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