BAD RECYCLER
2012年以降のカヴァー/サンプル(後編)
ジャズ・ヴォーカリストの青羊によるソロ・ユニットの初作。プロデューサーは菊地成孔で、“Beat It”のクラッシーなカヴァーでは彼の歌唱も聴くことができる。
マイケル曲のモダンな再生には一日の長があるリアーナ。同じくマイケル崇拝者のクリス・ブラウンと披露した“Nobody’s Business”は、“The Way You Make Me Feel”の一節を引用しながらライトなディスコ・タッチに仕上げるという二重の意味でマイケルっぽい仕上がり。
ラテン・ポップ方面でも人気のマイケル。バチャータの貴公子は“I Just Can't Stop Loving You”のスペイン語版“Todo Mi Amor Eres Tu”(作詞はルーベン・ブラデス)を情熱的に歌い上げている。
カナダの週末ヒーローが前年のフリー・アルバムをまとめた3部作。そのうちの『Echoes Of Silence』では“D.D.”として“Dirty Diana”をカヴァーしている。歌の重さを自身の内省に引き込んだ感じか。
89年生まれの俳優兼シンガーが、“Remember The Time”をスムースに披露。本人の聴いてきた90年代ヒップホップへのオマージュを中心にした作品だけに違和感はない。なお、プロデューサーのサラーム・レミはジャクソン5のリミックス企画で素晴らしい仕事を残したことも。
お子ちゃま時代には“Ben”を取り上げていたこともある〈世界の妹〉。この最新作ではアルバムの表題よろしく“Heal The World”を抜群の歌唱力で披露している。アップを歌ってもいいのよ!
BURIAL 『Street Halo / Kindred』 Hyperdub(2012)
単純に声ネタとしての機能なのだろうが……このEP収録の幽玄な“Loner”では“Stranger In Moscow”を明快にサンプル。かつての“Nite Train”もあったし、実は単にファンだったりして。
レゲエ歌手によるマイケル・カヴァーは昔から目立っていたが、近年のものではこれが出色。ジャクソン5からジャクソンズ、そして“Butterflies”まで幅広い年代の曲を歌っているのが嬉しい。何より美声!
最後は優雅にスムース・ジャズを……ノーマン・ブラウンとカーク・ウェイラム、リック・ブラウンという重鎮トリオのマイケル曲集。マイルスも演った表題曲は定番として、カヴァー自体が珍しい“Another Part Of Me”などのリズミックな展開が楽しい。